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 生まれ変わっても、学校はできるだけ行きたくないですね。今でも集団って苦手なんです。

 幼いころから大人の中で育ち、小学校でも、僕は日本舞踊や茶道が好きでみんなが話題にするようなことは知らないし、しゃべらなかったから、「変な子」と言われました。身を守るには演技をするしかなかった。先生や友達は僕をどう思っているのか、両親は、大人たちはと、じっと観察して考えて。中学から高校にかけては、本当の自分と、周りから思われる自分との闘いでした。「普通はこう」と言われ続けるのも耐えられず、中学で自殺未遂をして、高校でひきこもりました。

 ただ、その経験を逆手にとって、いま演出家をやっているところもある。なぜこの舞台を人に見せるのか、人はどう見るのかと常に考える。生きるって、自分と人とのことを考えていくことなんじゃないかな。死ぬ瞬間まで永遠に人間の矛盾と向き合っていかなきゃならない。

 ひきこもった1年間は、同じレコードを何百回も聴いて空想を広げて、楽園でした。あの時間があったから今の自分がある。結局、あふれる空想を誰かに話したくて仕方なくなりました。人間はどこかで人とのつながりを欲している。長期休校で登校できない子もいるそうですが、この間に将来に生きる素晴らしい原石が生まれているかもしれない。一時の「遅れちゃダメ」という流れにのみ込まれたら、原石を見失ってしまう。

 どうしても苦しかったら海外にいってみたら。こうすることが正しいと思っていたことが、全く違うと実感できると思う。演出だって日本と海外では全然違う。日本では、先生のように演出家があれこれ話して、みんなは指示通りに動こうとする。アメリカやロンドンでは、演出家が一方的に話したら誰もついてこない。まず意見を言い合う。間違った意見も大歓迎。違う人間同士が一緒に作りあげるから意味があるという考え方です。焦らず、世界を広げてください。(聞き手・宮坂麻子)

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 みやもと・あもん 演出家 1958年、東京都出身。振付師などを経て87年に演出家デビュー。今秋、黒澤明生誕110年記念ミュージカル「生きる」を東京などで公演予定。

 ■オススメの本

 「ブンナよ、木からおりてこい」(水上勉)

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 トノサマガエルのブンナが主人公で、生きることについて考えさせられる作品。かつて、米国のフェスティバルのミュージカルの題材にしたことも。

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