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 中国が香港の自由を押しつぶそうとしている。報道を圧し、言論を封じ、批判を許さない取り締まりが強まっている。この露骨な弾圧を、国際社会は看過してはならない。

 香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏(71)が、逮捕された。反体制的な言動を対象にした国家安全維持法違反の容疑である。

 具体的な内容は明らかにされていないが、この国安法が禁じる外国勢力との結託や、国家の安全に対する危害行為といった疑いがあるとされる。

 香港郊外にある同紙本社には約200人にのぼる警察官が家宅捜索に入り、大量の資料を押収したという。同紙は「香港の報道の自由は崖っぷちにある」と紙面で書いた。

 香港のメディアは「一国二制度」によって自由な報道が認められてきた。だが、近年は中国からの圧力や中国資本の流入が増え、報道の独立性に陰りが見えるとの指摘も出ていた。

 そんななかで、他紙とは一線を画した中国批判を展開し、存在感を示してきたのがリンゴ日報だった。25年前に創刊した黎氏には、中国の民主化運動を支持し、香港の自由を守る信念があると言われている。

 それだけに黎氏の逮捕は、共産党政権が国安法による弾圧を本格化させる動きと受け止められている。

 中国本土のメディアは、共産党の「喉舌(こうぜつ)」と呼ばれるほど、厳しい統制下にある。中国は、香港メディア全体を同じようにする思惑なのだろう。

 日本との関係が深い民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏(23)も国安法違反容疑で逮捕された。海外メディアの取材を受けたり、特定の組織に関与したりしたことが違法とされた可能性があるという。

 国安法をめぐっては、香港警察が米国在住の米国籍の人物を指名手配したことが波紋を広げている。国外であっても体制批判の言論を中国の法で封じようということなら、国際社会に対する挑戦であろう。

 訴追される恐れがある以上、どの国の在住者であれ、香港の人々との会話や通信に慎重になってしまうかもしれない。

 しかし、そのために香港の人々と各国市民との連携が損なわれることがあってはなるまい。むしろ、中国共産党による強権を認めない国際世論のボリュームを増していくべきだ。

 周氏らの逮捕に対し、日本や欧米各国の政府は懸念を表明した。中国政府への直接抗議を粘り強く続けねばならない。香港の自由が眼前で壊されていく今、とりわけ欧米日の主要国の姿勢が問われている。

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