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 目の前の豊かな「資源」を最大限に活用すれば、気候危機対策と経済成長の両立を実現できる。官民あげて洋上風力発電の拡大に努めるべきである。

 政府は先月、優先的に洋上風力事業を進める促進区域を追加し、長崎、千葉と秋田2カ所の計4カ所とした。ほぼ同じ時期、関連産業を育てるための官民協議会も発足した。

 これまで風力発電は、安定供給の懸念や送電線への接続制限などで伸び悩んできた。2018年度の総発電量に占める割合は0・7%と、世界平均を大きく下回る。国内では現在、陸上風力が大部分を占めているが、騒音や景観などの懸念が少ない洋上をいかに活用できるかが今後の拡大のカギを握る。

 海外では洋上風力の伸びがめざましい。自然エネルギー財団によると、世界の導入量は過去10年間で15倍に増えた。国際再生可能エネルギー機関の試算では、今後10年でさらに10倍になり、今世紀半ばには現在の40倍にもなるという。

 英独やデンマークなど欧州のほか、アジアでも拡大している。特に中国は意欲的で、設備容量は世界3位だ。

 こうした国々との差は大きいが、日本は幸い領海と排他的経済水域が世界で6番目に広く、風という資源にも恵まれている。そんな地の利を生かせば、仮に原発がゼロになっても、その分の電力を風力でまかなえるほどの潜在力がある。この豊かな資源を生かすため、漁業との共存や発電コストの低減などに知恵を絞ってほしい。

 洋上風力の拡大に取り組むことは、脱炭素ビジネスの後押しにもつながる。

 風力発電1基あたりの部品数は数万もあり、産業としての裾野は広い。運転・保守で雇用を生み出せば地域の活性化にもつながる。しかし国内市場が貧弱なせいで、日本のメーカーは相次いで風車の生産から撤退した。再び投資を呼び込むには、政府が明確な将来像を描かねばならない。

 だが政府目標では、10年後も風力は電源構成の1・7%しかない。再生可能エネルギー全体でも22~24%で、石炭や原発と同程度の水準にとどまる。

 先ごろ政府は、低効率の石炭火力を大幅に減らす方針を決めた。将来的に原発の比率を下げざるをえないことも明らかだ。他方、再エネに対する企業の需要は高まっており、太陽光や風力などを電源構成の主体としていくことが時代に即している。

 次期エネルギー基本計画で再エネの目標を高くし、洋上風力の潜在力を引き出す。脱炭素社会の実現には、そんな大胆な戦略が求められている。

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