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 日本と韓国の関係が冷え込んで久しい。国際会議や五輪などを除くと、首脳が単独で相手国を訪ねることは、第2次安倍政権下では一度もなかった。

 ともに民主主義を尊び、自由貿易を志向し、北朝鮮問題の悩みを共有する隣国である。この異常な事態をどう正していくのか。次の政権が外交で着手すべき最優先課題の一つだ。

 懸案は歴史問題である。この8年を振り返れば、韓国側に時にかたくなな態度や、時に対応の鈍さがあったのは確かだ。

 しかし日本側も、安倍首相の対韓外交に大きな問題があった。加害者としての歴史に対する謙虚さを欠いた姿勢である。その修正なしに関係の立て直しを図ることは難しい。

 日本の歴代政権は、植民地支配という不幸な過去への反省をふまえ、諸問題に接してきた。一定の配慮を忘れぬ対応が外交的資産となり、経済や安全保障の協力を進めてきた。

 その決意を表したのが、戦後50年の「村山談話」や同60年の「小泉談話」などである。

 安倍氏は両談話を「全体として引き継ぐ」としたが、自身が出した戦後70年談話では、今後の世代が謝罪を続けるべきではないとの趣旨も明記した。

 自らの主体的な歴史認識の表明は避けつつ、一方的に清算の区切りをつけようとする態度が、かつての被支配国から反感をかったのは無理もない。

 直近の関係のこじれは、徴用工問題をめぐる韓国側の動きに起因するものだ。だが、それを経済にまで広げたのが、日本政府による輸出規制の強化である。結果として日韓の企業に多大な損失を負わせた。

 一貫性ある対話の積み上げを怠ったという点では、北朝鮮政策も同様だ。圧力一辺倒の方針を、米朝が接近すると対話志向に一変させた。拉致問題を含めて成果は何も出せなかった。

 朝鮮半島をめぐる安倍外交の負債を引き継ぐ次の政権は、韓国との正常な対話の再開から始めねばなるまい。

 韓国政界では、新政権とは良好な関係を築くべきだとの機運が広がりつつある。まずは喫緊の課題である徴用工問題をどう解決するかが、文在寅(ムンジェイン)政権と日本側との共同作業になろう。

 日本は時間をおかず、輸出規制の強化を撤回すべきだ。文政権は、元徴用工らへの補償問題について能動的に行動する必要がある。

 今改めて思い起こすべきは、小渕恵三首相と金大中(キムデジュン)大統領が交わした「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」である。次世代の両国民とアジアの安定のためにも、健全な首脳往来を復活させねばならない。