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 日本で生活する外国人も、コロナ禍で厳しい境遇にある。

 解雇や雇い止めにあった人。故国に帰ろうにもその手段やお金がない人。子どもたちの学びにも大きな支障が出ている。

 次の内閣はこの窮状への手当てを急がなければならない。あわせて、日本社会が外国人に支えられて成り立っている現実を見すえて、包括的な政策づくりに乗りだす必要がある。

 外国人労働者は昨年10月末時点で165万人と第2次安倍政権の間に倍増し、就業者全体に占める割合は2%を超えた。だが政権は右派層への配慮などから「移民政策はとらない」との立場をとり続けた。既にある制度の改正や運用の見直しのつぎはぎを重ねた結果、随所でひずみが顕在化している。

 たとえば、技術や知識を学んで自国に持ち帰ってもらうのが目的のはずの「技能実習制度」は、安い労働力を確保する手段となった。長時間労働やパワハラなどの人権侵害が相次ぎ、職場から失踪する外国人が続出した。留学生の名目で、実際は労働者を受け入れる脱法的なビジネスも横行した。

 18年の出入国管理法改正は、そうした実態を直視し、外国人政策を立て直す好機だった。しかし政府与党は、共生社会を築くための支援策や予算措置を詰めないまま採決を強行。外国人の受け入れ拡大を狙って「特定技能制度」が新設されたが、拙速さがたたって浸透しないところにコロナ禍が襲った。

 製造業を中心に失業者が多数出る一方、技能実習生の来日が滞り、農業や漁業は深刻な人手不足に陥った。政府は、働く場をなくしても引き続き日本にとどまることを望む実習生について、別の分野への再就職を認めることにした。技能実習制度の変容は明らかだ。この際、矛盾に満ちた同制度の縮小・廃止に本気で踏み出すべきだ。

 外国人をただの労働力ではなく、共に社会を構成する一員として遇する。コロナ禍で経済や教育の一層の格差拡大が懸念されるなか、この施策の必要性はますます高まっている。

 日本語習得の手助けや日本語が母語でない子の学びの確保など、自治体や民間団体が主に担ってきた事業に、政府も積極的に関与していくことが求められる。病気やけがで働けなくなった時の支援をはじめ、個人の人権を守る観点から制度を整備・充実させることも不可欠だ。

 外国人の労働条件や環境をおろそかにすれば日本人労働者にも影響が及ぶし、外国人が地域に溶け込めず対立や分断が起きれば、その地域全体が住みにくくなる。新政権は心して外国人政策に取り組んでもらいたい。