折々のことば:1936 鷲田清一
そうした売る気ゼロの岩波文庫が中学生の僕にはたまらなくかっこよく見えた。
(都甲幸治)
◇
中学生の頃、多摩に住んでいた米文学者は、学校の帰りによく吉祥寺の書店に立ち寄った。岩波文庫の棚はなんだか「暗かった」。裸本に帯を巻き、それを透明なグラシン紙で被(おお)った地味な装丁。いつか被…
そうした売る気ゼロの岩波文庫が中学生の僕にはたまらなくかっこよく見えた。
(都甲幸治)
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中学生の頃、多摩に住んでいた米文学者は、学校の帰りによく吉祥寺の書店に立ち寄った。岩波文庫の棚はなんだか「暗かった」。裸本に帯を巻き、それを透明なグラシン紙で被(おお)った地味な装丁。いつか被…