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 原発の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地をめぐり、北海道の自治体で調査を検討する動きが出ている。

 寿都(すっつ)町では先月、町長が3段階のステップの最初に当たる「文献調査」への応募を検討する考えを明らかにし、住民向けの説明会を開くなどしている。神恵内(かもえない)村では、応募検討を求める請願が商工会から村議会に出され、委員会の議論でいったん継続審査となった。ともに北海道電力・泊原発に程近く、人口減や産業・経済の低迷といった悩みを抱える自治体だ。

 文献調査が実施されれば法律に基づき、2年間で最大20億円の交付金が地元に出る。ただ、選定を進める経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)は、知事や地元首長が反対すれば、次の段階の調査には進まないとしている。すでに鈴木直道・北海道知事は反対する考えを明言した。

 現実に大量の使用済み燃料がある以上、どこかで管理・処分しなくてはならない。電力の恩恵を受けてきた都市の住民を含め、国民的な合意づくりが望まれる。2町村による調査への応募検討を、社会全体で改めて考える機会とするべきだ。

 まずは地元が幅広い視点からじっくり議論のできる場を整えることが大切である。地域が賛成や反対に分かれ、分断するような事態は避けねばならない。国や関係者は、中立・公正な立場から、必要な情報を提供し、議論を深めることのできる環境づくりが求められる。

 現行計画の問題も、改める必要がある。

 計画は、核燃料サイクルが前提で、対象は使用済み燃料からプルトニウムやウランを取り出した後の廃棄物だ。しかし実現の見通しはなく、実際には海外の計画のように、再処理せずに埋める「直接処分」を考慮せざるを得なくなるはずだ。

 政府は原発依存の姿勢も変えていない。原発を動かし続ければ使用済み燃料は増えていく。

 計画する処分場には、何をどれだけ埋めるのか。それを明確に示せなければ、地元の理解を得るのは難しいだろう。

 新型コロナの影響もあり、多くの自治体が厳しい財政状況にある。調査に手を挙げれば交付金が出ることに、鈴木知事は「ほおを札束ではたくようなやりかた」と疑問を呈する。

 放射能が十分に安全なレベルに下がるまでには数万年を要する。一時の交付金で反対を抑え込むのでは、地域に禍根を残しかねない。将来にわたって町づくりに責任を持ち、地域全体の振興につながる計画にしていくことが欠かせない。