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 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働を巡る審査で、原子力規制委員会は、東電が示した安全に対する基本姿勢を了承した。福島第一原発の事故を起こした東電に、再び原発を動かす「適格性」があると認めたことになる。

 だが、安全性や廃炉・賠償に向けた東電の姿勢には、いまだに不信感がぬぐえない。規制委の判断は疑問である。

 規制委は3年前、6、7号機の新規制基準への適合を認める際、東電の「適格性」を重視した。これを受けて東電は、▽福島第一原発の廃炉を最後までやり遂げる▽社長が原発安全の責任を担う▽安全性より経済性を優先することはない、など7項目を保安規定に明記した。

 保安規定には法的拘束力があり、違反すれば運転停止も命令できる。規制委は今回、7項目には具体的な取り組みが盛り込まれており、違反を認定するための形式が整ったと認めた。

 ただ、7項目にはあいまいな部分もある。規制委が厳しくチェックできるか、不安が残るといわざるをえない。

 たとえば、東電は「福島の事故の賠償をやり遂げる」というが、住民への損害賠償の和解案を相次いで拒否している実態がある。廃炉に関しても、処理済みの汚染水の取り扱いについては国任せの姿勢だ。

 こうした東電の振る舞いは保安規定と矛盾するようにも思える。規制委はどう考えるのか。

 大切なのは、東電の基本姿勢が改まったのかどうかだ。

 これまで朝日新聞の社説は、「東電に原発を動かす資格があるのか」と問うてきた。東電の安全への意識や姿勢が、十分とはいいがたいからだ。

 柏崎刈羽原発の重要施設の耐震性不足を、きちんと報告しなかった。福島の処理済み汚染水に各種の放射性物質が基準値を超えて残る事実を、積極的に公表していなかった……。そんな事例が繰り返されてきた。

 こうした現状のままでは、柏崎刈羽原発の運転について地元の同意は得られまい。

 そもそも、事故の当事者である東電には、何より廃炉や賠償を優先する責任がある。数十年にもわたる廃炉という難事業に注力しながら、原発を安全に運転する余裕があるのか。人材面などで、柏崎刈羽原発の安全対策にしわ寄せがいくことがあってはならない。

 柏崎刈羽原発の再稼働で経営を再建し、廃炉や賠償の費用をまかなうという考え方に固執するのをやめ、原発に頼らない方策を探るべきだ。

 政府は東電の事実上の大株主として、事業計画の見直しを東電に促すのが筋である。