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 スポーツを通じて人々の健康づくりはもちろんのこと、地域や経済の活性化を図る。そんな目的を掲げてスポーツ庁が発足して5年になった。

 だが相次いだ不祥事の対応に精力をそがれたうえ、庁自体の力量不足もあって、十分な成果をあげたとは言い難い。厳しい認識をもって、次の5年に向かわなければならない。

 この間(かん)社会を驚かせたのは、時代の変化に追いついていけないスポーツ界の惨状だった。競技団体の幹部らによるずさんな資金管理、暴力を容認する指導、選手を追いこむパワハラ、セクハラ……。運営、競技の分野を問わず、一部の人間が長年にわたって君臨し、チェック機能が働かない。共通するのはそんな旧態依然とした構図だ。

 このままでは社会の理解を得られないと、スポーツ庁は適切な組織運営のための規範「ガバナンスコード」を策定し、今年度から本格運用が始まった。団体の規模や性格によって内容は異なるが、コンプライアンス意識の徹底、公正・適切な会計、情報公開などが共通する柱だ。

 同庁には改革の行程を含む実情の把握が求められる。コード違反に対して助成金削減などの制裁を科すのは当然として、何より違反を起こさない組織に変えていくことが肝要だ。支援・助言の態勢を整え、各団体の育成に努めてもらいたい。

 国民の当面の関心は五輪とパラリンピックを来年開催できるか否かにあるが、同じく、あるいはそれ以上に大切なのは「五輪後」への備えだ。

 各競技団体はもともと財政基盤が弱いところにコロナ禍が重なって、極めて厳しい状況にある。五輪が終われば国からの補助金も減る。自主財源をどうやって確保し、組織を率いる次代の指導者をいかに養成するか。ここでもスポーツ庁がどんな役割を果たせるかが試される。

 課題は他にも山積している。

 例えば、オーバーワークが指摘される教員の負担を軽くするため、部活動に外部の指導者を導入する。地域活動の核にするとのかけ声でスタートした「総合型地域スポーツクラブ」を、内実を備えたものにする。コロナ禍で延期されたことによって注目が集まった都道府県回り持ちの国民体育大会についても、あるべき姿を問い直す必要があるだろう。来年以降の東京・国立競技場の活用方法にも結論を出さねばならない。

 いくつもの役所にまたがるスポーツ振興のための施策をまとめ、全体を設計・構想したうえで取り組む優先順位をつけるのがスポーツ庁の仕事だ。「発足間もない役所だから」の言い訳はもう通用しない。

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