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 意に沿わぬ人物や組織があれば力でねじ伏せる。黒を白と言いくるめ、異論には耳を貸さない。前政権から引き継ぐ菅政権の強権体質があらわだ。

 自民党のプロジェクトチーム(PT)が日本学術会議のあり方に関する提言案をまとめた。同会議の活動を批判し、「国の特別な機関」という位置づけを見直して新組織として再出発するのが望ましいとしている。

 ごまかしに満ちた文書だ。

 提言案は「学術会議が政治から独立であるべきは当然だ」と書く一方で、「政治や行政が抱える課題認識や時間軸等を共有し、実現可能な質の高い政策提言を」と求める。一見もっともらしいが、首相が会員候補6人の任命を拒否し、その理由も明らかにしないこの状況下では、政権と歩調を合わせよ、忖度(そんたく)せよと強要しているに等しい。

 さらに提言案は、政府の財政支援を縮小・廃止する方向を打ち出している。かわりに当の政府や民間からそのつど委託費を払ってもらうなどして活動を維持すればよいと書くが、それで学問・研究の命である独立性や客観性を担保できるか。こうした懸念への考察は一切ない。

 そもそも学術会議に関しては安倍政権下の15年に、内閣府の有識者会議が注文をつけつつも活動内容や組織改革への取り組みを基本的に評価し、今後に期待する報告書をまとめている。今回、PTが実質1カ月余の間に十数人から聞き取りをしただけで、組織の抜本見直しに踏みこんだのは乱暴極まりない。

 15年以降にあった動きの一つに、学術会議が軍事研究を否定した過去の声明を「継承する」との見解を出したことがある。

 科学が戦争に利用された反省を踏まえ、研究者の社会的責任を確認するいわば倫理指針だった。だが政府自民党は反発し、先日も井上信治・科学技術担当相が学術会議の梶田隆章会長と会談した際に話題にした。その思惑は明らかだ。

 菅首相が本当に学術会議のあり方を議論したいというのであれば、歴代の政府見解を踏みにじって強行した任命拒否をまず撤回し、そのうえで政府としていかなる問題意識を持っているかを社会に率直に提起するべきだ。それをしないまま、「総合的、俯瞰(ふかん)的に判断した」「既得権益、前例主義を打破したい」といった趣旨不明の発言を繰り返しても、人々の納得を得ることはできない。

 15年報告書は「科学的な見地から政策を分析し、批判的なものも含めて見解を出す」ことこそ、学術会議の重要な役割だと指摘している。首相らはこれを熟読し、その意味するところをよく理解する必要がある。

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