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 3カ月前まで首相の任にあった者が、在職中の政治資金の疑惑に絡んで、検察の事情聴取を受ける――。この重い事実にどう向き合い、政治責任を果たすのか。まずは国会の公開の場で、説明を尽くすことが不可欠である。

 「桜を見る会」の前夜祭の費用を安倍前首相側が補填(ほてん)していた問題で、東京地検特捜部が安倍氏本人から任意で事情を聴いた。安倍氏は関与を否定したとみられる。特捜部は会計処理の中心を担った公設第1秘書を政治資金規正法違反(不記載)罪で略式起訴し、安倍氏は不起訴処分とする方針だという。

 この前夜祭をめぐっては、1人5千円という会費が安すぎる、政治資金収支報告書に記載がないのはおかしいと厳しく追及されてきた。しかし安倍氏は、費用の負担は一切していない、参加者がホテルに直接会費を支払ったので、報告書に記載する必要はないと、およそ説得力のない説明に終始してきた。

 ところが、特捜部の調べで、実際は直近の5年間で900万円超を補填していたことがわかった。安倍氏が1年近く、国会や記者会見で繰り返してきた説明は虚偽だったことになる。

 衆院調査局の調べでは、「事務所は関与していない」「明細書はない」「差額は補填していない」という事実と異なる答弁は少なくとも118回にのぼるという。これほど虚偽がまかり通っては、まともな議論は成り立たない。首相自ら国会の行政監視機能を掘り崩す由々しき事態である。

 第1秘書らは補填の事実を安倍氏には伝えず、不記載も自分たちの判断だったと話しているという。しかし、そもそも無理のある説明を、安倍氏は何の疑問も抱かずに了解したのか。国会でホテル側への確認を再三求められた経緯に照らしても、にわかには信じがたい。

 補填が明るみにでて1カ月近くたつが、安倍氏はこの間、具体的な説明に応じていない。自民党は捜査に区切りがつけば、安倍氏が国会で説明する機会を設けるようだが、非公開で議事録にも残らない議院運営委員会の理事会を軸に検討しているというのだから、あきれるほかない。これでは政治への信頼回復などおぼつかない。

 公開の場でなされた虚偽答弁をただすのは、やはり公開の場でなければならない。中曽根康弘、竹下登、細川護熙各氏ら、首相経験者が予算委員会の証人喚問で疑惑を弁明した先例もある。安倍氏は国会での説明に「誠実に対応したい」と語った。ならば、ウソをつけば偽証罪に問われる証人喚問に堂々と応じるべきだ。

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