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 公立小学校の1クラスの児童数の上限が40人から35人に引き下げられることになった。1年生については、既に11年度から35人学級が導入されている。

 きめ細かな指導が可能になると都市部などの学校関係者は歓迎する。だが教員の質をどうやって確保するかをはじめ、課題は少なくない。期待どおりの効果が出るかは、今後の国や自治体の対応にかかっている。

 教育界にとって少人数化は悲願だった。少子化が進む一方、様々な事情から丁寧な指導が必要な子が増えているためだ。コロナ禍を受けた3密回避の要請などを背景に、文部科学省は秋以降、公立小中での「一律30人化」を強力に働きかけた。

 財政難を理由に財務省は抵抗し、結局「35人、小学校だけ」で調整がついた。来年度の2年生から順次実施し、25年度に6学年全てが35人学級になる。新たに必要となる教員は5年間で約1万3千人。ふさわしい人材を集めなければ、せっかくの取り組みも看板倒れになる。

 これに関連して文科省から気になる調査結果が発表された。19年度に公立小に勤務する教職員約41万人のうち、1%を超す4729人が、精神疾患で休職したり、1カ月以上学校を離れたりしていたというのだ。同じ理由で18年度に離職した公立小の教員は457人で、いずれも過去最多を記録した。

 精神疾患の原因に挙げられたのは、業務量の増加による長時間労働、自らの指導力不足に対する若手教員の悩み、保護者からの過度な要求などだ。きつい職場とのイメージが浸透し、小学校の教員採用試験の受験者は減り続け、00年前後に全国平均で10倍を超えていた競争率は、3倍を割り込んでいる。

 文科省も危機感を抱き、残業の上限を月45時間とするなどの指針を昨年打ち出した。だがコロナ対応に追われ、それどころではない地域も多い。

 国や自治体は、業務の削減、外部人材やIT機器の活用などを通じて、一人ひとりが意欲と余裕を持って働ける環境を早急に整える必要がある。

 35人学級の導入は、能力を持ちながら非正規の立場で日々指導にあたっている中堅・若手を正規教員として処遇したり、いまは別の仕事についているが、免許を持ち、教育に熱い思いを抱いている人たちを中途採用したりする好機でもある。

 ベテランが大量退職し、教員の年齢構成が崩れている現状を改善し、また外の風を入れることで、学校現場に良い刺激をもたらすことが期待できるのではないか。研修プログラムを充実させるなどして、教員の質と量の確保に知恵を絞ってほしい。

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