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 「勝負の3週間」に敗れコロナ禍が拡大するなかで、年末年始の休み期間に入る。窮状を訴える医療現場の声は日増しに強まり、不安が社会を覆う。

 未知のウイルスが出現して初めて迎える冬本番である。試行錯誤は致し方ないとしても、政治の怠慢や見通しの甘さが事態を悪化させ、各所にそのつけが重くのしかかっている。

 全国の中でもとりわけ状況が深刻なのは東京だ。政府の分科会は会食を介しての感染を抑えるため、飲食店などへの営業時間の短縮要請を強めるよう、小池百合子知事に求めてきた。北海道や大阪で一定の効果が出ていることも踏まえたものだが、知事は応じていない。

 苦境にあえぐ業界への配慮、要請の実効性などを考えての対応なのはわかる。だが何より優先すべきは医療崩壊を食い止めることだ。右肩上がりの東京の感染者数を見ると、状況判断が甘いと言わざるをえない。今からでも指導力を発揮すべきだ。

 もっとも小池氏だけの責に帰すのは筋違いだろう。以前から全国知事会は、休業や時短の要請を効果あるものにするため、知事の権限や国の財政支援措置の強化・充実を求めてきた。野党からも同様に、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を説く声があがっていた。

 ところが政府は動かず、臨時国会も12月上旬で閉じてしまった。23日の分科会にようやく法改正に向けた論点を示したが、動きの鈍さにあきれる。この先どんな工程表を描いて取り組むのか、速やかに方針を示し、野党とも調整を進めるべきだ。

 心配なのは、改正作業の土台となるデータの収集と分析の進捗(しんちょく)具合だ。政府はこれまで「事態が終息してから」という理由で、春の緊急事態宣言後の検証作業を先送りしてきた。

 政府がとったどんな措置が、人々の行動の変化やウイルスの拡散防止につながったのか。経済にはどんな影響が出たのか。そうした事実の積み重ねがあってはじめて、実のある法改正が可能となる。市民の自由や私権の制限の当否、手法を議論する際にも欠かせないデータだ。

 人々の理解と納得を得られる国会審議に向けて、政府は環境の整備を急いでもらいたい。

 きのう首相と一緒に会見した分科会の尾身茂会長は、感染拡大の抑止には国と自治体が一体感をもってメッセージを発することが不可欠だと繰り返した。

 氏の指摘を待つまでもなく、危機を克服するうえでリーダーの発する言葉、姿勢は極めて大切だ。この1年、そこに様々な誤りや課題があったことを認識して、これからのコロナ対策に当たらなければならない。

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