(受験する君へ)この苦労生かす、副社長の自分も 東北大4年・中屋悠資さん

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 東北大工学部4年の中屋悠資さん(22)は、3年時に起業したAI関連のベンチャー企業で副社長を務めている。

 兵庫県の出身。祖母の病気をきっかけに、中学までは医者を目指していた。だが、高校で数理科学部に入ったのが転機に。先生に「世界で誰もやらないことを目指せ」と激励され、医療を発展させる技術の開発に興味を持った。

 医療に近い工学を学べる進学先を探し、東北大を見つけた。三つある入試方式の中で選んだのが「AO入試2期」だ。面接や書類審査で目的意識を持って学ぶ意欲も重視されるため、塾などで一般入試に向けた勉強をしながら、学生が書いた論文も読んで各研究室の特徴を把握。面接では「医工学の領域に切り込んだ研究をしたい」とアピールしたという。

 入学後、しだいにプログラミングの魅力に引きつけられていった。「理論を勉強しても、形になるまで時間がかかる。プログラミングは、アイデアをすぐに社会で使える形にできる点がおもしろい」

 プログラミングのアルバイトをしていたところ、工学部の先輩に声をかけられた。「東北大の先生が開発したアルゴリズムをもとに、新しいAIを作らないか」。一昨年6月、医療や危険予測などで活躍できる次世代AIを開発するため、「Adansons(アダンソンズ)」を立ち上げた。副社長として、約15人の学生社員を束ねつつ、大企業に営業をかけたり、予算のやりくりを考えたりと忙しい日々を送る。

 今春からは東北大大学院で、「技術をどのように社会に生かすか」をテーマに研究を始めるが、経営も続けるつもりだ。「人間関係など大変なこともあるが、だれもやっていないことをゼロから作り上げる楽しさがたまらない」

 入試改革の迷走やコロナ禍で振り回されてきた今年の受験生に伝えたいのは、「他の年の受験生が経験したことがない苦労を重ねたことは、今後の人生に必ず生きる」ということ。コロナ禍で取引先を失うなどの打撃を受けた副社長は、自らにも言い聞かせるように言った。増谷文生