折々のことば:2059 鷲田清一
わたしの家は、ひどく貧しかったらしい。それでいて、またへんなぜいたくさもあった。
(中井英夫)
◇
貧乏学者の家。本を買ってもらった記憶がない。が、父の留守中に書斎で怪奇小説を見つけ読み漁(あさ)った。母は海外の友人が送ってくれる本を訳してくれ、そのノートを読み耽(ふけ)った。父は端…
わたしの家は、ひどく貧しかったらしい。それでいて、またへんなぜいたくさもあった。
(中井英夫)
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貧乏学者の家。本を買ってもらった記憶がない。が、父の留守中に書斎で怪奇小説を見つけ読み漁(あさ)った。母は海外の友人が送ってくれる本を訳してくれ、そのノートを読み耽(ふけ)った。父は端…