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 従来の説明を繰り返す素っ気ない答弁からは、国民のいのちと暮らしを守る覚悟も熱意も伝わってこない。菅首相は野党の意見や提案にも耳を傾け、党派を超えてコロナ禍に立ち向かう政治の先頭に立つべきだ。

 首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が終わった。最大の焦点となったのは政府のコロナ対応である。

 立憲民主党の枝野幸男代表はまず、「Go To トラベル」の停止や緊急事態の再宣言が後手に回ったとして、「判断の遅れを認め、反省することから始めるべきだ」と迫った。

 首相は淡々と「感染状況を注視しつつ、専門家の意見もうかがいながら、判断を行ってきた」と応じた。政府の対応に国民の厳しい視線が注がれているというのに、何ら問題はなかったと言わんばかりだ。政治は結果責任ともいう。感染の急拡大を招いた分析も反省もなしに、これから打ち出す対策や言葉に説得力が生まれようか。

 立憲、共産、日本維新の会、国民民主の各党は、緊急事態宣言を出す前に編成され、「Go To」事業の追加予算などが計上された第3次補正予算案の組み替えを要求した。

 その後の感染の蔓延(まんえん)を踏まえ、医療や生活への支援に集中するのは理にかなっている。何より、政権として、経済との両立から感染抑止へかじを切るという明確なメッセージになろう。しかし首相は「組み替えなくても、十分な予算を確保している」とにべもなかった。

 「Go To」は止めない、緊急事態宣言は避ける――。一度決めた方針に固執する菅政権の姿勢が、臨機応変な対応を阻んできたのではないか。安倍前政権から続く国民感覚とのズレも、強権的な政治に傾き、多様な民意を丁寧にすくいとる柔軟さを失った結果に違いない。

 与党はしばしば、野党は批判だけで対案がないという。そうとばかりはいえまい。新型コロナ対応の特別措置法の改正ひとつとっても、野党は昨年の臨時国会に法案を提出している。一顧だにせず、国会を閉じ、今になって改正を急いでいるのは政府・与党の方だ。

 政府が閣議決定した特措法や感染症法などの改正案には、罰則の導入をはじめ、疑問点が尽きない。幅広い国民の理解と協力を求めるなら、野党との修正協議に真摯(しんし)に応じるべきだ。

 首相は施政方針演説の冒頭に、国民の「安心」と「希望」を掲げた。ならば、明日から始まる一問一答の予算委員会では、官僚が用意した答弁書の棒読みも、「お答えを控える」答弁も封印し、国民に届く自身の言葉で論戦に臨んでほしい。

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