(受験する君へ)数学が苦手だって、理系から開く道 米スミス大3年・仁ノ平和奏さん

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 「なぜ文系?」。米国のスミス大学でコンピューターサイエンス(CS)を学ぶ東京都出身の仁ノ平和奏(にのひらわかな)さん(22)は、高校1年で文理選択をする際、学校の先生からかけられた言葉が転機となった。

 「数学が苦手だから文系」と考えていたが、物理や化学の先生に「私の理系の適性についてどう思いますか?」と聞いて回った。「ポジティブな返答に背中を押されて」理系を選択。環境や教育など関心のあるどの分野の仕事に就くとしても、CSを学べば応用がきくと考えた。

 もう一つの転機は、高2で参加した米国でのサマーキャンプだ。議論中心の授業が楽しく、「こういう学び方をしたい」と海外大をめざすことにした。

 海外居住や長期留学の経験はなかった。出願に必要なTOEFLや、米国の共通試験であるSATとACTのスコアを上げるため、英語の参考書や過去問集を買い集めて自習。苦手なライティングは、「とにかく書きまくって克服した」という。

 CS専攻とはいえ、「入学時はコードも書けず、ゼロスタート」。気後れせずにすんだのは、同じく初心者の同級生が少なからずいて、気軽に教え合えたからという。

 心理学、アート、女性学、環境学など、さまざまな授業を受けてきた。人種問題やジェンダーについて学び、問題意識がどんどんアップデートされてきたと感じている。「専攻分野の学びはまだ浅い。でも将来、テクノロジーでいろいろな社会課題を解決したい。そのためには、広い視野が必要だと思います」

 コロナ禍で一時帰国し、現在は休学中だ。IT分野のジェンダー格差解消をめざす一般社団法人「Waffle(ワッフル)」のインターンとして、女子中高生にコードの書き方を教えるなどしながら、再び渡米できる時を待つ。

 STEM(科学・技術・工学・数学)は男性が多い分野で、親や先生に応援してもらえない女子中高生もいると聞いている。でも、こう伝えたい。「プログラミングなどはオンライン教材も充実し、自力でかなり学べる。興味があるなら、何を言われてもあきらめないで」(三島あずさ)

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