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 2度目の緊急事態宣言から20日間が経過した。感染抑止を最優先すべき局面が続く一方で、経済活動への制約も広がっている。打撃を受ける産業や働き手を社会全体で支えつつ、回復に備える必要がある。

 宣言が出た11都府県の人口は全国の過半に及び、夜間の飲食に加え、外出や会食全般の自粛も求められた。医療逼迫(ひっぱく)の現状を見れば、やむをえない。今月初めのような陽性判明者の急増にはブレーキがかかったが、期間の1カ月で十分抑え込めるかはなお不透明だ。この状況を一刻も早く脱するためにも、防疫と医療の強化に全力を挙げなければならない。

 その分、当面は飲食サービス業を中心に消費部門には相当の負荷がかかる。最初の緊急事態宣言が出た昨年4~6月期ほどではないにせよ、GDP成長率もかなり押し下げられそうだ。1~3月期はマイナス成長になるとの見通しが増えている。

 とはいえ製造業は比較的堅調で、日本経済全体には余力がある。金融・財政政策を使って所得や雇用を下支えすれば、悪循環が起きるのを防げるはずだ。1年近く苦境にさらされてきた観光や飲食といった業種の実情に丁寧に目配りし、迅速な対応を続ける必要がある。

 株式市場に目を転じれば、コロナ禍前の水準を大きく超えて値上がりが続き、もはや過熱に注意を要する状況だ。ただワクチン普及などが進めば相応の景気回復が見込めるのも事実だ。デジタル化の進展などに応じ、怠るべきでない投資もある。防疫に反しない経済活動は、着実に歩みを前に進めるべきだ。

 業績が堅調な企業は今春闘でも賃上げを続けることが望ましい。経団連は「ベースアップも選択肢」としつつ、従来より消極的な姿勢もにじませる。確かに事業継続や雇用を優先せざるをえない企業もあるだろう。しかし景気回復局面で財務体質を強めてきた企業は今こそ、その蓄積を生かし、将来を見据えて働き手に報いるべきだ。

 新規採用についても、過度に抑え込めば、当事者や社会にとってだけでなく、当該企業にも将来ツケが回るだろう。

 政策面では、感染が落ち着いた時期にも医療・防疫の体制を充実し、危機時の再分配の仕組みを整えておくことが、結局は経済の安定につながる。それがこの1年で明らかになったことだ。そのために人・モノ・カネの投入を惜しむべきではない。

 ワクチン普及前に足場を固めずに経済活動の再開だけを急げば、感染の再拡大を起こして振り出しに連れ戻される懸念がある。中長期をにらみ、戦略的に手を打つことが必要だ。

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