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 介護サービスの公定価格である介護報酬の4月からの改定内容が決まった。全体で0・7%のプラス改定で、多くのサービスの基本料が上がる。

 コロナ禍のもとで介護事業所の経営は厳しく、現場は深刻な人手不足が続く。報酬引き上げはそうした事態に配慮した結果である。そのことをしっかり受け止め、最前線で働く職員の待遇改善につなげるべきだ。

 改定で力を入れたのが、感染症や災害が発生しても、必要なサービスを安定的・継続的に提供できる体制作りだ。全ての事業者に業務を継続するための計画策定や訓練を義務づける。

 コロナ禍で、デイサービスなどでは利用者が減って経営が悪化した。そうした場合に事業者の収入が大きく減らないようにする特例も制度化される。

 各事業者は、利用者の理解を得られるよう、丁寧な説明に努めてほしい。

 介護を担う人材の確保も改定の柱だ。経験・技能のある職員の賃金を上げる仕組みを使いやすくするほか、介護福祉士や勤続年数の長い職員の割合が高い職場の報酬も手厚くする。職員の負担軽減のため、見守り機器などの導入を促すとともに、こうした機器を活用する場合の夜間の人員配置基準を緩和する方向も示された。

 ただ、基準の緩和に対しては、介護の質が低下したり、職員の負担がむしろ増えたりするのではないかと心配する声もある。影響を調べて実態を把握し、状況に応じて機動的に見直すことが必要だ。

 前回改定で導入された自立支援や重度化防止の取り組みも、今回強化される。報酬が大きく拡充され、「要介護度3以上の利用者が15%以上」といった要件をなくす。

 事業者にとっては加算を得やすくなるが、利用者が望まないサービスを事業者が強いたり、改善が見込めそうな要介護度の軽い利用者ばかりを集めたりすることへの懸念もある。きちんとした検証が求められる。

 今回の改定はコロナ禍への緊急対応の側面が色濃く、介護保険を取り巻く課題はなお残ったままだ。

 超高齢社会が進み、社会保障の中でも介護保険は今後、最も給付の伸びが大きいと見込まれる。にもかかわらず、昨年末に報告をまとめた政府の全世代型社会保障検討会議では、75歳以上の医療費2割負担の議論に結論を出すのがやっとで、介護にはほとんど触れなかった。

 給付の内容、制度の担い手拡大、税金の投入のあり方など、長期的な視点に立った「負担と給付」の議論にも向き合わねばならない。

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