(受験する君へ)大人の干渉ない、好きなこと伸ばす時間 ラッパー・宇多丸さん

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 通っていた中高一貫校の巣鴨では当時、成績が張り出されていた。点数が悪いと「自分はできない子だ」という意識になって余計に腐りましたね。学外の友だちとクラブで夜遊びしてた。だから、早稲田大の法学部に受かると先生たちは驚愕(きょうがく)してました。

 大学受験は私立文系に絞り、科目は国語、英語、政経。駿台予備校の現国の先生の授業は目からウロコだった。受験の国語は文学的な感受性を問うてるわけじゃない、数学と同じく記号の集まりで足し算や引き算と同じだと。高3の模試で国語が全国2位になり「俺はいけるんだ」と思えた。

 受験勉強って、不条理を強いてくる学校というシステムとは違う、自分でコントロールできる領域だった。学校をさぼったり、友だちと無駄な時間を過ごしたりするのと同じで、大人の干渉を受けずに好きなことを伸ばせる、楽しい時間でした。

 大学も当時は自由な気風で、面白い人がいて、自分で授業を選び、出なくても怒られない。今の子にも大学って楽しいと伝えたい。

 近年の受験生は受験システムのブレに振り回されてかわいそうだけど、そこで余裕を持てるかどうか。例えば僕ならちょっとドトールに行って一杯。余裕だよって自己暗示をかける。

 受験を「我慢の時」ととらえるのがよくない。得意なところで勝負し、コツをつかむ。山をかけるという要素もあり、過去問という資料もある。やれるタスクがはっきりしているゲームというかね。

 僕の場合、「俺はバカじゃない」と証明するチャンスだった。目的のために努力しクリアできたという成功体験になり、自分への信頼を取り戻せた。みなさんも自動的に周りにのみ込まれずに、自分が勝てる方法をよく調べた方がいい。

 成功するにせよ失敗するにせよ自分次第っていうのは、人に命令されるよりはるかにいい。嫌々やってる勉強はうまくいかない。人生全般にも言える。好きなことに時間を使いたい。

 いま若い子に「音楽一本でやっていきたいんです」って思い詰めた感じで相談されると、必ず言うのは「なんで二者択一なの?」ってこと。受験でもそうだけど、「これが達成できないと失敗」みたいに人生を考えるのって絶対不幸になりません? 受験生が思い詰めるのはわかる。でも一つ言えるとすれば、「嫌々生きるのはやめようよ」ということに尽きるかな。(聞き手・宮崎亮

 ■私の勝負飯 学校帰り、ケンタッキーのビスケット

 学校帰りにみんなで(店に)たまって食べた。すごく青春な時間だったな。「勝負飯」なんてないよ。そんなこと考えたら緊張するだけじゃない? 普段の生活をしなよ。

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 うたまる ラッパー、ラジオパーソナリティー。1969年、東京都生まれ。早稲田大学法学部卒。ヒップホップグループ「ライムスター」メンバー。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」を担当。

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