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 新型コロナウイルスの陽性者との接触を知らせるスマホ用アプリ「COCOA(ココア)」の不具合が4カ月以上も放置されていた。政府の呼び掛けでアプリを入れた人々を裏切る行為である。改修を急ぐとともに、この事態を招いた原因を明らかにし、体制を立て直さねばならない。

 COCOAは厚生労働省が昨年6月から提供。陽性登録者から1メートル以内に15分以上いた利用者に通知が来る。プライバシーへの配慮から、電話番号や氏名、位置情報などは使わず、接触記録もスマホ端末内で照合する仕組みだ。

 これまでに約2500万件ダウンロードされた。うち約770万件を占めるアンドロイド端末向けで、昨年9月末から陽性者との接触があっても通知が来ない状態だった。

 このアプリを使えば、検査受診など保健所のサポートを早く受けられ、利用者が増えれば感染拡大防止が期待できる、と厚労省は説明してきた。陽性者に接触した人が、検査を受けたり外出を控えたりすれば、感染が広がりにくくなるからだ。感染経路を追う積極的疫学調査の補完とも位置づけられる。

 安倍前首相は昨年6月の会見で、「安心して使えるアプリ」なので「多くの皆さんにダウンロードしていただきたい」と発言。GoToトラベル事業でも旅行者に利用を要請した。学生や教職員に入構の際、利用を義務づける大学もある。

 こうしたアプリで不具合が起きること自体はやむをえないが、できる限り早く検知し、改修を重ねて品質を向上させることが不可欠だ。

 厚労省によると「通知が来なかった」との問い合わせはあったが、実機での検証を後回しにしていたという。菅首相が認めるように「お粗末」の極みだ。政府が感染拡大防止の柱の一つとするアプリでの失態であり、コロナ対策の技術開発や運営体制全般に不信を招きかねない。責任の所在を明確にし、人手や予算が足りないのであれば、早急に手当てすべきだ。

 そもそもCOCOAが機能するには、インストールや陽性登録、通知の活用の各側面で利用者の協力が欠かせない。現状のダウンロード数では効果は限られ、一段と協力を広げるには政府への信用が前提になる。それを確保するための体制ができているのか。今回損ねられた信頼をどう取り戻すのか。政府全体に突きつけられた問題だ。

 ワクチンが効果を発揮するまで、大規模な行動制限を避けるには、感染経路の追跡が対策の肝になる。人権の制限や罰則に頼らずに実現する方法を、探り続けなければならない。

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