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 10年前の東日本大震災を思い起こした人も多いだろう。

 最大震度6強を観測した13日夜の福島県沖地震では、転倒したり落下物が当たったりして、福島、宮城両県で多くのけが人が出た。その後も余震が続き、追い打ちをかけるように強い雨も降った。週半ばには真冬の冷え込みが予想される。

 福島県は被災した市町に災害救助法の適用を決め、支援に乗りだした。東北地方では新型コロナウイルスの感染拡大は比較的抑えられているとはいえ、油断は禁物だ。感染症の予防にも十分気を配りながら、行政は二次被害の防止と生活の再建に力を尽くしてもらいたい。

 強く揺れた地域には複数の原子力施設がある。目立った異常がなかったのは何よりだが、やはり気になるのは東京電力福島第一原発の様子だ。

 1~3号機の原子炉には溶け落ちた燃料デブリがあり、冷却のための注水で高濃度の汚染水がたまり続けている。使用済み燃料プール内にも多くの燃料が残る。廃炉作業が遅れたそんな状態で、この先また大きな地震に見舞われたらどうなるか。

 東電はいま一度細部まで点検し、汚染水の流出や放射性物質の飛散といった事態を万が一にも引き起こさぬよう、安全措置を徹底しなければならない。

 気象庁によると、地震は陸側プレートの下に沈み込む太平洋プレートの内部で起きた。震源の深さが55キロと深かったため、海底が変形しにくく、幸い大きな津波は発生しなかった。

 マグニチュード7・3は、阪神淡路大震災や熊本地震と同じ規模だ。今回は短い周期の小刻みな揺れだったため、ブロック塀など小さな構造物は倒壊した一方、大きな構造物の被害は少なかったとみられる。

 3・11から間もなく10年になるが、地球の歴史からみるとあっという間でしかない。いまも余震への警戒を怠ることはできず、実際、気象庁によると、地震の発生回数は東日本大震災が起きる前よりもなお多い状態だという。一帯の地震活動は引き続き活発だという認識を新たにして、「震度6強」を、備えを再点検する機会にしたい。

 中でも電力や交通など、社会生活に欠かせないインフラ機能を担う企業の責務は大きい。

 今回の地震で送電線を支える柱が折れた東北新幹線は、全線の運転再開まで10日前後かかる見込みだという。首都圏各地で大規模な停電も一時発生し、東北地方の火力発電所に多くを頼っている電力供給の実態と弱点を改めて思い知らされた。

 見落としている脆弱(ぜいじゃく)さや対策の不備はないか。検証を急ぎ、今後に生かしてほしい。

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