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 地震の影響で、東北新幹線は多くの電柱が損傷し、全線復旧に約10日間を要する見通しとなった。東北新幹線が長く不通となるのは、地震発生から全線復旧まで約1カ月半かかった東日本大震災以来。

 JR東日本によると、今回の地震の震源に近い東北新幹線新白河―古川間で、折れたり傾いたりした電柱が少なくとも20本確認された。この影響で、那須塩原(栃木県那須塩原市)―盛岡(盛岡市)間の約400キロで運転できなくなった。復旧作業を進めており、16日は盛岡―一ノ関(岩手県一関市)間は運転する。

 電柱が損傷した理由について、JR東は今回の地震は短い周期の揺れが多く、「電柱のように比較的小さな構造物が影響を受けやすかった」と分析。「盛り土の上にある在来線の電柱よりも、新幹線の高架橋の電柱の方が、高架橋と電柱の揺れが重なり増幅する『共振』を起こしやすかった可能性がある」(JR東の担当者)

 JR東は、東北新幹線の区間で数百本の電柱が損傷した東日本大震災を教訓に、東北、上越の各新幹線で電柱の耐震補強を進めてきた。古い時期に造られた区間のコンクリートの電柱約2万本のうち、大地震のリスクが高い地域などにある5千本を抽出。今年度末までに2200本、2028年度までに5千本の耐震補強が完了する計画だ。

 だが、損傷した20本は対象の5千本に入っておらず、補強の時期は未定だった。今回の地震で、補強済みの電柱には被害は出ていない。JR東の広報担当者は「設備の数も多く、新型コロナウイルスの影響で経営環境が厳しいこともあって予算にも限りがある中、優先順位を付けて対策を進めるしかない」と話す。(一條優太)

 ■受験生「なぜこんなに試練が」

 東北新幹線が不通になった影響で、JR盛岡駅のバスターミナルの仙台行き高速バス乗り場には15日朝、40人以上の列ができていた。

 いつもは新幹線で仙台市の会社に通勤するという男性(79)は「バスで仙台に通勤するのは東日本大震災のとき以来。老体にはこたえるけれど仕方ない」とぼやいた。午前7時40分発のバスはほぼ満員で、補助席を使う人もいた。

 JR福島駅で東京行きの高速バスを待っていた東京都台東区の会社員佐藤翔さん(23)は「バスだと片道5時間ほどかかる。早く新幹線を復旧させてほしい」。運行するジェイアールバス東北は、地震前の1日2本から6本に増やした。

 影響は受験生にも及ぶ。福島高校(福島市)の対馬俊晴教頭によると、3年生約10人が15日、首都圏で大学受験にのぞんだ。福島駅から在来線で約2時間半をかけ、東京行きの新幹線が通る那須塩原駅(栃木県那須塩原市)に行ったり、保護者が車で会場まで送ったりしたという。

 JR仙台駅東口では、山形市の高校3年山本航大(こうだい)さん(17)が東京・新宿行きの高速バスを待っていた。16日にある都内の第1志望の大学の入試に、自宅から計約10時間かけて向かう途中だ。「新型コロナもあったし、なんでこんなに試練が訪れるんだろう。後悔しないように頑張ります」(中山直樹、飯島啓史、大宮慎次朗)

 ■私大、追試や共通テスト活用も

 東北新幹線などの交通機関がストップしたことを受け、東京の私立大学では、個別試験の追試を設けたり、大学入学共通テストの成績での合否判定に切り替えたりする動きが出ている。

 慶応大は15日の文学部、16日の法学部の試験について、東北6県在住で、東北新幹線の運休により受けられない受験生を対象に、追試験を行うと発表した。文学部は15日まで、法学部は16日までが申請締め切りで、追試験は3月9日に行う。

 早稲田大は、東北6県在住者で15日以降に行う政治経済学部や教育学部など11学部の試験に来られない受験生について、共通テストの成績で合否判定を行うと発表。法政大も14、16日の試験を受けられない受験生は共通テストの成績で合否を判定する。

 中央大は、15日の経済学部と理工学部の各試験について仙台市の会場の開始時間をそれぞれ60分と80分繰り下げて行った。(伊藤和行)

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