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 日経平均株価が1990年8月以来の3万円台を回復した。コロナ禍の下、金融市場の安定は望ましいことだが、実体経済と乖離(かいり)した急ピッチの上昇は持続性の面で疑問が生じる。冷静な点検が必要だ。

 新型コロナウイルスは年始にかけて感染が拡大していたが、このところ内外ともに落ち着いてきた。ワクチン接種が欧米に続き、日本でもきょう始まり、効果が期待されている。

 経済面では、今週発表された昨年10~12月期のGDPが1次速報値ながら堅調さを示す内容だった。緊急事態宣言で、飲食・交通などでは再度の落ち込みが予想されるが、製造業を中心に上場企業では業績予想の上方修正も目立つ。コロナ禍後を展望する動きがでても、不思議ではない。

 ただ、日本経済は18年秋から景気後退に入り、株価は伸び悩んでいた。その水準を大きく超える最近の上昇には、どこまで根拠があるのだろうか。

 経済のデジタル化や脱炭素などの動きを取り込んでさらに成長しようとする企業への期待は、一定程度ありうる。加えてコロナ禍対応で発動されている大規模な金融・財政政策が当面続くとの見通しも、先行きの支えになっている。

 一方、米国市場ではスマホアプリで取引する個人投資家らが、SNSで情報交換してヘッジファンドに対抗しようとするなど、荒っぽい動きも出てきた。暗号資産も高騰しており、金融市場全体の過熱感は否定できない。様々な事象を相場上昇の材料として一面的に解釈する傾向が蔓延(まんえん)すれば、かなり危ういといえる。

 もちろん市場に上下の変動はつきものだし、それ自体は健全である。ただ、持続可能でない投資が過度に積み上がれば、急速に反転した場合に混乱や損失の連鎖を招くおそれがある。他方で、経済の実情から離れて金融資産の高騰が続けば、経済格差の拡大を招きかねない。

 コロナ禍の行方はなお不透明で、経済対策を急に縮小すべきではない。実体経済を支えつつ、金融面が過熱しないよう、政策当局には慎重な判断と丁寧な情報発信が求められる。

 試金石の一つが日本銀行のETF(上場投資信託)買い入れだ。実際の購入額は減っているが、昨年3月に年12兆円に倍増した新規購入枠を保っている。

 このまま続ければ、デフレ防止の効果より、市場にゆがみをもたらす不利益が大きくなりかねない。枠を維持したまま裁量的に買い入れを減らすのは透明性に欠ける。危機時の再開を留保しつつ、段階的に枠自体を大幅に縮減していくべきだ。

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