(社説)議員の夜飲食 自民の規律が問われる

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 またかと、驚きあきれる。

 緊急事態宣言下での、自民党議員による夜の酒場通いのことだ。しかも今回は、同様の振る舞いで与党議員が議員辞職や離党に追い込まれた直後のことである。自民党は本気でたがを締め直さねばならない。本人が離党したので終わりでは、国民の信頼は取り戻せまい。

 自民党の白須賀貴樹衆院議員が先週、東京・麻布の高級会員制ラウンジに、午後8時すぎから10時まで、女性と一緒にいたことが、週刊文春の報道で明らかになった。

 緊急事態宣言を受け、自民党二階俊博幹事長名の文書で、所属国会議員に対し、飲食を伴う会合への参加を控えることや、午後8時以降の不要不急の外出自粛の徹底を求めている。

 白須賀氏は「知り合いのお店だから、少しだけでも売り上げに貢献したいと思った」と述べたが、身勝手な釈明というほかない。政府の要請に応じて不自由な生活に耐えている国民への背信行為だ。

 先に東京・銀座のクラブ通いが発覚した4人のうち、公明党の幹事長代理だった遠山清彦氏は衆院議員を辞職した。

 これに対し、自民党の松本純元国家公安委員長と田野瀬太道文部科学副大臣、大塚高司国会対策副委員長の3人は離党にとどまる。松本氏は当初、1人で店に行ったとウソをつき、他の2人が一緒だったことを隠していた。にもかかわらず、自民党は3氏が離党勧告に応じたことで早々に問題に幕を引いた。

 白須賀氏はカジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件に絡み、地元事務所の家宅捜索を受けた。文科政務官時代には、緊急事態に備える「在京当番」日に都内を離れた際、自身が乗っていた車が当て逃げ事故を起こし、運転していた秘書が書類送検されている。

 文春報道を受け、すぐさま離党届を出し、次の総選挙には立候補しない考えを表明したが、その議員としての資質にはかねて疑問符がつけられていた。地元千葉の自民党県議らからは辞職勧告を求める嘆願書も出ている。けじめには程遠い。

 自民党も、政権運営や選挙への影響を懸念するだけで、党の規律やガバナンスにかかわる重い事態だという認識はうかがえない。二階氏が「国民の批判を真摯(しんし)に受け止め、より一層、各議員に規律の徹底を図ってまいりたい」と、通り一遍のコメントを出したが、再発防止につながるか心もとない。

 新型コロナの感染拡大を抑えるには、国民の理解と協力が欠かせない。政治への信頼はその大前提であることを、政権与党は改めて肝に銘じるべきだ。

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