(受験する君へ)落ちて気づいた本気、医学部再挑戦 柔道選手の医学生・朝比奈沙羅さん

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 高3だった2015年の冬、医学部に落ちた瞬間はよく覚えています。

 翌年の夏のリオデジャネイロ五輪をめざしていたので、受験した大学は、練習環境が充実している東海大だけでした。地下鉄の車内で携帯電話の画面を見て、「うぁっ」って泣いてしまいました。五輪を控えていたので、浪人の選択肢はなかった。五輪へのチャレンジを優先し、東海大の体育学部に進学を決めました。

 実は受験の直前、「本当に自分が(医学部に)入りたいかどうかわからない」と、父に愚痴っていたんです。病院の麻酔科に勤務する父と歯科医の母を見て育ち、「将来は私も医学の道に」と疑わずにいました。親のレールの上を走らされている感覚もありました。

 でも、受験に落ち、悔し涙を流して、自分は本気だったんだと気づきました。将来の目標に強い気持ちが芽生え、いつか必ず合格すると心に決めました。

 大学3年で再び医学部受験の勉強を始めました。大学の講義がない日に予備校に行き、夕方からは柔道の稽古に励みました。

 高3の受験前はひたすら問題を解いて、量をこなす勉強でした。ただ、中学時代から柔道の全日本の活動で授業を休む日もあり、所々に穴がありました。

 そこで、2度目の受験で勉強法を変えました。知識が抜けている単元や苦手な分野を穴埋めする勉強法に変えたんです。この方法が良かったと思います。

 五輪をめざす柔道選手が受験を並行していることで批判も受けました。ネットで「脳まで筋肉の柔道選手が……」と書かれたこともありました。柔道界からも批判の声が聞こえてきました。

 なぜ頑張れたかと言えば、やっぱり医師になりたいという思いが一番です。自分が言ったことはやり通したい、という思いをやる気に変えていました。

 勉強と部活の両立に悩んだ受験生もいると思います。私も高3の時はいっぱいいっぱいでした。ただ、2度目の受験では、勉強と柔道をいい具合に両立できたかなと思います。柔道が好調なら柔道の割合を少し増やし、勉強が波に乗れば柔道を抑え気味にする。そんな緩急をつけられるようになりました。誰でも200%の力で頑張ると燃え尽きます。息抜きも大事。102%で続けていけば、その2%が積み重なって、大きな成長につながると思います。(聞き手・波戸健一)

私の勝負飯 直感で選んだ冷やしたぬきうどん

 食事はモチベーションアップにつなげたい。勉強も柔道も勝負の日は、その時に食べたいものを食べます。独協医大の試験では、1次も2次も昼食は冷やしたぬきうどん。この時も直感で選びました。

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 あさひな・さら 1996年生まれ、東京都出身。渋谷教育学園渋谷高(東京)、東海大体育学部を卒業し、2020年春に独協医大医学部に入学。柔道では17年に体重無差別の全日本女子選手権を制覇。18年世界選手権の女子78キロ超級で金メダルに輝いた。