(社説)辺野古の工事 県民の心踏みにじるな

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 辺野古に新たに基地を造ることは認められない。その意思を明確に示した沖縄の県民投票から、きのうで2年が経った。

 この間も政府は工事を強行し続けた。それだけでも民意の冒涜(ぼうとく)で許し難いのに、さらに人々の心を踏みにじる行動に出ようとしている。県に出した計画の中に、辺野古の海を埋め立てる土砂の調達先として、沖縄本島南部が含まれているのだ。

 本土防衛の「捨て石」とされた76年前の沖縄戦で県民の4人に1人、約12万人が命を落とした。県は今も約2800柱が地中に眠っていると推計するが、なかでも南部は最大の激戦地だった。そうした遺骨もろとも土砂が掘り起こされ、基地の造成に使われる恐れが出てきた。

 先の大戦での犠牲者の遺骨収集を「国の責務」と定める法律が16年に施行された。沖縄ではボランティアが加わり、発掘や身元の特定作業が行われている。計画はこうした地道な取り組みを無にしかねない。

 菅首相は国会で「配慮するよう業者に求める」と述べた。これに対し県選出の赤嶺政賢衆院議員は、遺骨と土は同じ色になっていて、手にとって重さを比べないと区別できないと説明。小渕恵三元首相が遺骨収集に参加してきたことにも触れ、「かつての自民党政権は沖縄の歴史への最低限の認識があり、沖縄で絶対やってはいけないことの認識をもっていた。しかし安倍・菅政権には(それが)全く感じられない」と批判した。

 口では「沖縄に寄り添う」と言いながら、行動はその正反対をゆく両政権の実相を浮き立たせる質疑となった。

 当初の計画では土砂の7割は県外から搬入する予定だった。しかし沖縄県には埋め立て用土砂の流入を規制する条例があり、特定外来生物が含まれていないかの調査や、防除策の届け出などが必要となる。

 こうした手続きを避けようとして、調達先を変更したのではないかとの指摘も出ている。工事を進めるために脱法的な行為を繰り返してきた両政権への不信は深まるばかりだ。

 玉城デニー知事は来年の本土復帰50年を前に、沖縄に約70%が集中する在日米軍施設を「50%以下にすることをめざす」と議会で表明した。数値目標を掲げて整理縮小を求める構えだ。

 最近も、新型コロナの感染拡大で基地外活動を制限されている米海兵隊員が、性犯罪や飲酒運転の疑いで相次いで逮捕されている。県議会が超党派で、頻発する米軍機の低空飛行訓練に抗議しても、菅政権は一向に動かない。本土住民の沖縄に対する甘え、あるいは無関心が、政府の無策と怠慢を許している。

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