(社説)日米2+2 対決より共存の土台に

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 安倍氏から菅氏へ、トランプ氏からバイデン氏へ、日米のトップが代わって初の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が東京都内で開かれた。

 「米国第一」のトランプ外交に振り回され、米国製兵器の大量購入を迫られた同盟関係のゆがみをただし、地域や世界の安定の礎となる協力関係を築かなければならない。

 最大の課題は、軍事的にも経済的にも台頭著しい中国にどう向き合うかである。

 会談後に公表された共同発表では、中国に対する厳しい姿勢が際立った。「既存の国際秩序と合致しない行動」を名指しで批判し、中国海警局の船舶に武器使用を含む強力な権限を与えた海警法への「深刻な懸念」を表明した。米国の日本防衛義務を定めた日米安保条約5条の尖閣諸島への適用も再確認した。

 南・東シナ海での強引な海洋進出をはじめ、香港での弾圧、新疆などの少数民族に対する人権抑圧など、中国共産党政権の強権的な手法に問題があるのは確かだ。共同発表が、これらに「深刻な懸念」を示し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したのは当然である。

 一方で、日米両国ともに、中国とは経済面などで深い相互依存関係にある。気候変動新型コロナ対策など地球規模の課題に取り組むうえでも、協調は欠かせない。米中対立を先鋭化させず、健全な共存をめざす土台として日米同盟をいかす知恵が求められる。

 共同発表は「日米同盟の強さは、共通の価値に基づく」として、「自由で開かれたインド太平洋」の推進を掲げ、「志を同じくする」諸国とのネットワークの強化を盛り込んだ。だとすれば、日米両国には、それぞれ取り組むべき課題がある。

 日本にとっては、韓国との関係改善が急務だ。日米韓の連携は、対北朝鮮政策を進めるうえで欠かせない条件である。米国にはトランプ氏が離脱を決めた環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を求めたい。

 気がかりなのは、共同発表に「日本は国家の防衛を強固なものとし、日米同盟を更に強化するために能力を向上させる」と明記されたことだ。日本の軍事的な役割を強化し、コロナ禍で逼迫(ひっぱく)する財政のさらなる悪化にもつながりかねない。

 米軍普天間飛行場辺野古移設を「唯一の解決策」と繰り返しながら、日米地位協定の見直しには言及がなかった。これでは「同盟強化」を唱えても、幅広い国民の理解は得られまい。ましてや、日本が米国の対中戦略にのみ込まれ、米中の軍事対立の最前線に置かれるようなことがあってはならない。

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