ともに考える場、広がれ 認知症フレンドリー市民上映会

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 朝日新聞社は、映画製作会社「ワンダーラボラトリー」と提携、認知症を理解する体験講座と映画鑑賞を組み合わせた機会の提供を始めます。名付けて「認知症フレンドリー市民上映会」。認知症の課題を地域のみなさんが共有、議論のきっかけにしていただくものです。

 ■VR体験と映画、セットで

 朝日新聞社は、企業や自治体、学校などから依頼を受けた「認知症フレンドリー講座」を全国展開中。バーチャルリアリティー(VR)技術を駆使した機器で、認知症の人が見ている世界を疑似体験できる=写真=講座だ。専門医や当事者の生の声に触れられるインタビューも視聴し、認知症を「自分ごと」として理解できる場となっている。

 ワンダーラボラトリー(本社・東京)は「社会課題」や「地域の魅力」を題材にした映画製作で知られる。介護福祉士の青年の成長を描いた「ケアニン」シリーズなどの作品は、全国で草の根的に自主上映会を重ねる形で、異例のロングヒットを続けている。

 両社が連携し、地域のみなさんが催す「市民上映会」での「認知症フレンドリー講座」の提供に乗り出す。認知症の当事者を支える人の視点で描かれた映画の観賞と、VR体験を軸とした講座を組み合わせることで、認知症に対する理解をより深め、認知症の人に寄り添う気持ちを育んでもらうことが狙いだ。

 ■介護に携わる青年の成長

 「市民上映会」に貸し出される作品は「ケアニン~あなたでよかった~」「ケアニン~こころに咲く花~」「ピア~まちをつなぐもの~」「僕とケアニンとおばあちゃんたちと。」の4作品。「ケアニン」とは「介護や看護などの仕事に誇りや愛情をもって働く人」を意味する。介護へのイメージが変わるように願って、つくられた言葉だ。

 第1作の「ケアニン~あなたでよかった~」は、なんとなく介護福祉士になった青年が主人公。認知症の高齢者とのコミュニケーションに悩む日々が続くが、初めて本格的に関わった認知症の女性との関係性を深めるうち、いつしか本気で仕事に向き合ってゆくようになる姿を描く。青年の、認知症に対する思い込みや戸惑いなどを繊細に描きながら、介護現場で働く人の仕事ぶりも丁寧に伝えている。

 「ケアニン」シリーズの自主上映会は2017年秋に始まり、全国千カ所以上で草の根上映の輪を広げてきた。

 ■現場のリアルを伝えたい 映画プロデューサー・山国秀幸さん

 初めて認知症や介護をテーマにした映画をつくろうと思った時、ストーリーは創作しなければならないものと考えていました。しかし、様々な施設を取材で訪れると、みなさん仕事について一生懸命語ってくれるのです。その姿はキラキラ輝いていて、とても刺激を受けました。大げさに聞こえるかもしれませんが、かつての思い込みが打ち砕かれ、人生観が変わりました。それで、このテーマでつくっていこうと考えたのです。

 脚本は徹底的に取材してつくります。ご覧になった介護現場のみなさんからは、ありがたいことに「自分たちの仕事がリアルに描かれている」との感想をいただきました。「自分たちの映画だ」と、思ってくださったのです。

 劇場公開後は、自主上映会を中心に広げてもらっています。各地の主催者のみなさんが「自分たちの課題」として企画・運営し、地域のみなさんが集い、つながるきっかけになっています。上映後のあいさつでは、涙ながらに語る主催者もいらっしゃいます。

 「非日常」を楽しむような映画ではありません。でも、みなさんが、人ごとではない問題として受け止められるテーマなのです。私自身も、自分ごととして取り組むべきテーマを見つけられたと感じています。(談)

 ■主催者に貸し出し

 「市民上映会」は、自治体や学校、企業、有志団体の単位で開催できる。申込者が「主催者」となり、会場確保や当日運営などを担う。開催日や会場が決まれば、上映用のDVDかブルーレイが主催者に貸し出される。

 映画の貸出料などは、開催規模に関わらず必要。上映会だけでの開催も受け付ける。オンライン開催も可能だ。「認知症フレンドリー講座」や「認知症VR体験会」とセットで申し込んだ場合は、講座や体験会の本体価格について、5%の額の値引きが受けられる。

 映画の貸出料金は、参加者100人まで5万円。超えた場合は1人につき500円を加算する。「僕とケアニンとおばあちゃんたちと。」のみ、50人まで2万5千円で、超えた場合は1人500円加算(価格は消費税別)。

 問い合わせはメール(dementiavr@asahi.comメールする)で。申し込みは、公式サイト(https://dementiavr.asahi.com/別ウインドウで開きます)の「認知症フレンドリー市民上映会」のバナーから。

 ◆この特集は、坂田一裕が担当しました。