(時時刻刻)科目再編 思考、さらに重点 図表多数、正答複数の問題も 共通テスト、25年から21科目

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 2025年からの大学入学共通テストの出題教科・科目を大学入試センターが24日、発表した。22年度から高校で必修化される「情報」「歴史総合」「地理総合」「公共」が新設され、現行の6教科30科目から7教科21科目に再編する。大学入試改革がめざす思考力を問う傾向がより鮮明になった。▼特集面=問題例とねらい

 共通テストは、大学入試センター試験に代わり今年1月に初めて行われた。25年の共通テストを受ける高3生(今の中2生)は、22年度から導入される新学習指導要領をもとに学ぶため、出題教科・科目の見直しを検討してきた。科目を新設する一方で、質の高い出題を維持し、作問者の負担や印刷経費を減らすため、現在30ある科目数を「スリム化」した。今後、文部科学省が高校や大学と協議して正式に決定する。

 出題教科は、現行の国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語に、情報が追加された。コンピューターの仕組みやプログラミングなどの問題が出る。地理歴史は、日本と世界の近現代史を扱う歴史総合や、国際協力や防災がテーマの地理総合をベースに、日本史探究や世界史探究、地理探究などと組み合わせる。

 初出題となる情報、歴史総合、地理総合、公共は、センターのホームページにサンプル問題が公表された。入試改革の目玉だった記述式問題や英語の「書く」「話す」力を試す問題は盛り込まれなかった。

 サンプル問題にはどんな出題の意図があるのか。

 「思考力や判断力、表現力は一貫して重視している」。大学入試センターは24日の会見で、問題作成の考え方を、そう説明した。

 サンプル問題のベースは新学習指導要領だ。文科省は思考力などの育成をいっそう重視し、高校教育、大学入試、大学教育を一体的に改革することをめざす。

 問題の内容は、1月の共通テストの出題傾向と同じく、複数の資料や会話文などを読ませたうえで解答させるものが目立った。

 歴史総合は、世界史と日本史を統合し、近現代史を重点的に学ぶ。オスマン帝国憲法と大日本帝国憲法、清でつくられた憲法原案の共通点や違いなどを問う問題があった。

 選択科目だった地理は、22年度からは必修の地理総合となる。自然災害に対する備えと復興のあり方についての問題や、地域調査で得た景観写真や地図などの資料から「平成の大合併」の成果や課題を考える問題が出た。公共では、合意形成のあり方について問う問題で、結論が一つではなく、正答が3パターンある出題もあった。

 情報は、プログラミングやデータ活用を学ぶ「情報1」が出題範囲となる。東日本大震災から10年の通信インフラの変遷や、比例代表選挙での議席獲得や議席配分のアルゴリズムのほか、散布図などを用いたサッカーチームのデータ分析など、高校生に身近なテーマも取り上げられた。(伊藤和行、三島あずさ、阿部朋美)

 ■教育現場 「授業以外の学び、必要」/長文や資料多く「大変」

 サンプル問題を、各科目の教員らはどう見るのか。

 「暗記中心の授業を変えてほしいという作問者の強いメッセージを感じた」。神戸大付属中等教育学校の矢景裕子教諭は、歴史総合についてそう話す。

 サンプル問題の題材は2題とも歴史総合の授業だ。冷戦とは何だったか、自由とは何かといったテーマで、抽象度が高い。「用語を覚えるだけでなく、概念を理解して初めて答えられる。歴史を考える力は、どの子にも必要。多くの高校生が受ける共通テストで出題される意味は大きい」

 地理総合は防災学習を取り上げた。水害時の避難について家族で話し合う場面が紹介され、状況によって適切な方法を判断できるかが問われた。同校の高木優教諭は「授業で学ぶだけでなく、地形や家族構成から最適な避難方法を考えるなど、学習を広げることが求められると感じた。全高校生が自分の命を守る学習ができたらいい、というメッセージでは」と分析する。

 公共はSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標から課題を設定し、資料を読み取りながら多角的に分析する探究学習に即した出題などがある。神奈川県立瀬谷西高校の黒崎洋介教諭は「『説明を聞いて学ぶ』スタイルではなく、現代の諸課題の追究や解決に主体的にとりくみ、考えることを通し学んでいってほしいというメッセージを感じる」。

 情報1は、情報社会で生きる生徒に必要な力として、(1)情報社会の問題解決(2)コミュニケーションと情報デザイン(3)コンピュータとプログラミング(4)情報通信ネットワークとデータの活用、の4領域が学習指導要領で掲げられている。

 神奈川県立川崎北高校の柴田功校長は「4領域でバランスよく知識や思考力を問う出題でよかった。授業改善につながる。小中学校でもプログラミングが本格化すれば、高校入学時の生徒のレベルは今より上がるだろう」という。

 一方、戸惑いの声もある。「これは大変だ。果たしてうちの子に解けるだろうか」。都立の中堅校で歴史を教える教員は言う。問題文が長く、資料も多い。「歴史の力というより、文章やグラフを読みとる情報処理能力が問われる」

 大学入試には、どのような影響が考えられるのか。

 駿台教育研究所の石原賢一進学情報事業部長は「文章を読むのが苦手な生徒には厳しい出題だが、読解力、図表の読み取り能力など、思考力、判断力からみても力の入った良問だ。慣れれば十分に得点できる。『大学全入時代』の幅広いレベルの受験生に対応するには、共通テストは主に社会でもいきる力、個別試験は大学側が求める教養を問う、というすみ分けが進むのではないか」と話す。(編集委員・氏岡真弓宮坂麻子