(社説)まん延防止措置 「第4波」への対策急げ

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 新規感染者が再び急増している新型コロナへの対策として十分か。昨年来の「第3波」を超えるような大きな流行を招かぬよう、必要な対策を実行しつつ、さらに打つ手を考えるべき局面に来ている。

 政府はきのう、大阪府兵庫県宮城県に対して「まん延防止等重点措置」を適用すると決めた。2月に施行された改正特措法で新設した制度の初適用で、各府県はそれぞれ、大阪市神戸市など4市、仙台市で対策を講じる。

 中心となるのは、第3波の際と同様、飲食店での措置だ。営業時間を午後8時までとすることや席へのアクリル板設置のほか、大阪府吉村洋文知事は、客へのマスク着用を周知し、応じない場合は入店を断ることなどをお店に求める方針を打ち出した。

 ただ、これまでの取り組みを振り返れば、飲食店を中心とした対応でコロナを十分に抑えられるとは限らない。どこまで徹底できるか、疑問も残る。

 大阪と兵庫の対象市域では、2月末で緊急事態宣言が解除されてから1カ月余りでの「逆戻り」となる。当時、専門家から慎重な意見が相次ぐなかで、自治体の早期解除要請に国が応じた判断が適切だったのか。検証が欠かせない。

 今回、強く懸念されるのは、感染力が増したとされる変異株の影響である。

 厚生労働省の専門家会合では、特に大阪府兵庫県で検出される割合が高く、感染急拡大の一因になっているとの見方が示された。変異株は既に全国的に広がりを見せ、クラスター(感染者集団)も多発している。疫学調査を担う保健所のほか、軽症でも原則入院が求められるだけに医療機関への負荷も大きくなる。PCR検査に加え、変異株を監視し、封じ込める態勢の強化が急務だ。

 まん延防止措置は特措法改正論議のなかで急ごしらえした仕組みで、大阪などでの感染者急増を受けてバタバタと適用が決まった。知事が罰則を伴う命令まで出せるうえ、要請・命令の内容などに広い裁量を認めている。運用が恣意(しい)的にならないよう、国や自治体のトップは説明を尽くし、丁寧に手続きを進める必要がある。

 ところが、菅首相にはそうした姿勢が乏しいままだ。まん延防止措置の決定後、感染の再拡大を防げなかった責任や緊急事態宣言解除の適否を記者団に問われ、専門家に諮ったことを強調するばかりだった。

 まずは厳しい現状に真摯(しんし)に向き合うべきだ。そして今後の方針と具体策を練り、自らの言葉で国民に語らねばならない。

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