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 13年に始まった妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる出生前検査について、国の関与の下、実施施設を認証する制度が導入される見通しとなった。

 厚生労働省の専門委員会が先週公表した最終報告書案に盛り込まれた。国が関わることで信頼性を高めるとともに、妊婦が正確な情報にアクセスできる態勢を整えるのが狙いだ。

 これまで関連学会がつくった指針に基づいて運用されてきたが、事前事後の相談態勢が十分でなく、指針にも従わない認定外施設が急増している。学会レベルでの対応には限界があり、今回の見直しを支持したい。

 ただし懸念もある。出生前検査は、障害のある人の生きる権利や生命倫理の問題と密接にからむ。最終報告書案も「一律に実施することや推奨することは厳に否定されるべきだ」としており、新制度が検査の勧めと受け止められぬよう、十分配慮しなければならない。

 なかでも、妊婦に提供する情報の内容やその伝え方については慎重な検討が欠かせない。

 出生前検査の一つである「母体血清マーカー」について、厚労省の委員会が99年に出した見解は「(医師は妊婦に)積極的に知らせる必要はない」としている。この方針は、現在も事実上引き継がれている。

 だがネットやSNSの普及で情報は医師が独占的に知りうるものではなくなり、流布する中には正確さを欠く記述も見受けられる。妊婦が意思決定する上で正しい知識は何より大切で、それにアクセスする権利は確実に保証されねばならない。

 求められるのは、妊婦が抱える不安に応え、選択を支える情報だ。提供する側の考えや価値観が入りこむことがあってはならないし、検査をしないことや知らないでいることも、尊重されるべき意思であり権利だ。

 今後どんな情報をどうやって伝えるか。様々な立場の人の意見を幅広く聞き取って、社会の合意点を見いだす必要がある。

 課題はほかにもある。

 これまで学会が認めてきた施設は大学病院や総合病院が中心で、家から遠い、予約が取りづらいなどの理由から、認定外施設が利用されているとの見方もある。新制度では産婦人科のクリニックなども認証の対象にするという。それ自体は否定するものではないが、カウンセリングやフォローアップの態勢がおろそかになってはならない。これらを担う人材の育成にも、あわせて力を入れてほしい。

 安さや手軽さを売りにする認定外施設をどう規制するか。継続して実態を把握し、その状況によっては法的措置の検討もためらうべきではない。

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