(社説)重点措置拡大 波の山抑える具体策を

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 2度目の緊急事態宣言の全面解除から3週間も経たないうちに、新型コロナをめぐる状況は、再び、厳しく困難な局面に立ち至ってしまった。

 おととい大阪府が独自の医療非常事態を宣言し、きのうはその大阪府などに続く形で東京都が「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請した。

 ワクチンの普及が進まない現状で新規感染者を増やさない。それには人同士の接触の機会の抑制に努めることが肝要だ。医療崩壊を食い止め、多くの命を救うために、国、自治体、関係者の相互の信頼と連携が求められるのは言うまでもない。

 都の動きを受け、政府は、感染状況が深刻なそれ以外の県もあわせて「重点措置」の対象とすることを検討している。

 問われるのはその具体策だ。

 ほぼ1年前、7都府県を皮切りに全国に発出された最初の緊急事態宣言では、幅広い業種・分野に休業や行動制限の網がかかった。感染抑止に効果があった一方で、社会経済活動は大きな打撃を受けた。

 今年初めの2度目の宣言の対象は、首都圏・近畿圏を中心とする1都2府8県に絞られ、飲食店の営業時間短縮が対策の柱となった。昨春以来の知見を踏まえ、会食時の飛沫(ひまつ)感染を抑えることに重点が置かれた。

 だが専門家の慎重論を抑えて早めに解除した近畿圏で、感染が再燃した。新たに設けたばかりの「重点措置」の要請―発出を余儀なくされ、その後を首都圏が追う格好になっている。

 政府の専門家組織は、今回の感染急拡大の要因として英国型の変異株に注目。これまでの分析で感染力が強いことが裏づけられたとして、流行地域との往来の抑制を求めている。従来株に比べて子どもへの影響を心配する研究者の声もある。

 今後も解明されていくであろう特徴に常に目を配り、その内容に応じた対策を速やかに講じなければならない。

 とりわけ懸念されるのが、やはり大阪だ。吉村洋文知事は、府内全域での不要不急の外出・移動の自粛を人々に要請した。病床占有率などの指標は、政府が定めている警戒レベルで「緊急事態宣言を検討せざるを得ない」とされる「ステージ4」に達しており、3度目の宣言も視野に入る状況だ。

 東京をはじめとする他の地域も厳しさに変わりはない。

 海外での流行を受け、変異株の検査や病床確保の必要性が指摘されたにもかかわらず、スピード感、危機感を欠き、第4波というべき入り口に立っている。対策の足らざる点を探り、補うことで、「波」の山を少しでも低くしなければならない。

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