(社説)ケアを担う子 家族任せにせず支援を

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 家族の介護や世話を日常的に担う、「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたちへの関心が高まっている。

 病気の親に代わって家事をする、兄弟姉妹の世話をする、認知症の祖父母の見守りをする……。家庭の事情で、家族が助け合うことはあるだろう。介護などの経験が、子どもたちにとって学びになる面もある。

 だが、学校の勉強に支障をきたしたり、進路の選択肢を狭めたりするほどの負担となれば行き過ぎだ。周囲が気付かず、孤立することも心配される。

 子どもの権利や学ぶ機会の保障を最優先に、社会全体の問題としてとらえ、必要な支援を考えねばならない。

 厚生労働省文部科学省がこのほど、公立中学と全日制高校の2年生などを対象に初の全国調査を行った。「世話をしている家族がいる」のは5%前後で、世話に費やす時間は1日平均4時間。「7時間以上」とする回答も約1割あった。

 家族の世話をしている子どもらは欠席や遅刻をしがちで、宿題ができないことも多い傾向がみられた。「学校の勉強や受験勉強など学習のサポートをしてほしい」「自由に使える時間がほしい」。そんな声も目立つ。

 高齢化でケアを必要とする人が増える一方、共働きやひとり親世帯の増加、核家族化や長時間労働などで、家族の中の人手は減り、世話を日常的に担う子どもは増える傾向にあるとも言われる。

 悩みを抱える子どもたちを早期に把握し、手を差し伸べる。そのためにはさらなる実態把握に努め、学校と行政の福祉部門などとの連携を強化すべきだ。

 まずは、利用できる介護保険や福祉サービスにしっかりとつなげる必要がある。サービスの利用計画を立てる専門職には、子どもの視点に立った配慮も求められる。

 昨年、全国に先駆けて「ケアラー支援条例」を制定した埼玉県では、相談に対応できる人材の育成に力を入れている。今年度は、教職員と福祉部門の担当者らの合同研修会や、学校などでの経験者を講師に招いた「出張授業」などを計画している。参考になる取り組みだろう。

 民間の支援団体の中には、当事者たちが情報を交換したり悩みを語り合ったりできる場を定期的に開いているところもある。そうした活動への支援にも力を入れるべきだ。

 今回の国の調査は中・高校生が対象だったが、大学生も支援を必要としないわけではない。老老介護、介護離職の問題なども深刻だ。ケアする側を社会としてどう支えるのか、子どもたちへの支援を契機に考えたい。

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