(社説)コロナ支援策 財政と金融使い万全に

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 3度目の緊急事態宣言は、飲食店への時短要請に絞った前回から一転、大規模商業施設への休業要請など幅広い業種が対象になった。

 突然の方針転換にもかかわらず、宣言が発表されたのは、実施のわずか2日前の夜で、要請を受けた事業者に困惑が広がった。対応が間に合わない現場があったのも当然だ。

 今回休業や時短などの要請が出されたのは、いずれも1年超にわたるコロナ禍で、経営体力を大きくそがれてきた業種である。要請に応じてもらうには、財政と金融を適切に組み合わせた経済支援が欠かせない。

 飲食店には、既に売上高で差をつけた規模別の時短協力金の制度があるが、今回は酒類の提供自粛を求めており、業態によってはより大きな影響が予想される。政府はこれまでの協力金でも、休業を織り込んだ金額になっているとして、支給額は従来どおりとする方針だ。事業者の理解が得られるよう、丁寧な説明が求められる。

 問題が大きいのは、休業要請の対象になった大規模商業施設や映画館などへの支援策である。政府は要請に応じる施設に1日20万円、テナントに1日2万円を一律で支給する新たな支援策を打ち出したが、大規模店にとっては「焼け石に水」であろう。事業者が口々に不満をこぼすのも理解できる。

 打撃を受けるのは、直接の対象業種だけではない。納入業者のほか、外出自粛でタクシー業者なども苦境に立つ。こうした事業者に対する政府の支援も法人の場合、一律で月20万円となっている。

 「短期集中」を強調する菅首相だが、予定通り来月11日で解除できるかは不透明だ。実情にそぐわぬ施策のままでは、休業に応じない事業者が続出しかねない。規模に応じた支給など見直しの検討を急ぐべきだ。

 中小に比べれば余力のある大企業への支援は、返済を前提にした金融支援が基本となろう。資本不足に陥った大企業にも劣後ローンを低利で注入する仕組みがあるが、対象は飲食と宿泊業に限られている。休業要請が長期化するのであれば、対象の拡大を考える必要がある。

 各種の支援金が事業者の手元に届くまでには一定の時間がかかる。政府や自治体は、審査などの事務を最大限迅速に進めてほしい。現金が振り込まれるまでの資金繰りの支援にも、全力で取り組まねばならない。

 国民の命と暮らしを守ることは最優先の課題だが、国の財政に余裕はない。必要な支援を講じつつ、いかに将来への借金のつけ回しを減らすのか。政府の手腕が問われている。

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