(10代の君へ)「いつか」に向けて、培おう 岩清水梓さん

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 10代は、下校後すぐに電車に乗り、サッカーの練習に通う日々でした。制服のまま友だちと遊びに行く。そんな「放課後の楽しみ」を味わってみたい気持ちもありましたが、目指すものがあって、それが結果として実ったのは、あの頃から地道に頑張ってきたからだと思います。

 中学2年の時にけがをして、1年間を棒に振りました。試合に出る同期たちを横目に、リハビリや別メニューでの練習に取り組みました。結果を出さないとクラブに残れない。けがが治ってからは、がむしゃらに練習しました。同期にはライバル心しかなく、ギスギスしていましたが、彼女たちの存在があったからこそ成長できました。

 高校生の頃、練習が唯一休みだった月曜は居酒屋でアルバイトをしていました。社会経験を積む機会でもあり、学校やサッカーとは違う大切な「居場所」でもありました。サッカーのこともすごく応援してくれて、ありがたかったですね。

 昨年出産し、今年復帰しました。9月に、日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が開幕します。それに向けて週6日、練習に参加しています。

 代表選手として結果も出し、やりきったという思いはありました。でも、出産を理由にやめるというのは違うと感じていました。男子選手は「父親になったから引退する」ということはないのに、女子選手には、引退が現実的な選択肢として突きつけられることに違和感がありました。女性アスリートが長く競技を続けていくロールモデルになれたら――。そんな使命感のようなものを感じています。

 スポーツをしている10代の人たちに伝えたいのは、できないことを嘆くのではなく、できることを探してほしいということです。新型コロナで大会が中止になるなど厳しい状況が続いていますが、いつか状況が良くなったときに発揮できる技術を、地道に培ってほしいです。できることを積み重ねていきましょう。私もそうしていきます。(聞き手・三島あずさ)

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 いわしみず・あずさ サッカー選手。日テレ・東京ヴェルディベレーザ所属。1986年、岩手県生まれ。2006年、日本代表「なでしこジャパン」に選出。W杯では11年に優勝、15年に準優勝。昨年3月に出産。今年、チームに復帰した

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