(社説)菅原氏辞職へ 自民の無反省に驚く

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 有権者への違法な寄付を指摘され、閣僚を辞任してから1年7カ月。衆院議員の失職につながる有罪確定が視野に入ってから議員を辞めるといわれても、けじめにはほど遠い。ここまで放置してきた、自民党の責任も極めて重大だ。

 菅原一秀前経済産業相がきのう、自民党に離党届を出したうえで、衆院議長あてに議員辞職願を提出した。

 昨年6月に菅原氏を不起訴(起訴猶予)とした東京地検特捜部が、「起訴相当」との検察審査会の議決を受けて再捜査した結果、他にも違法寄付があったとして、公職選挙法違反の罪で近く略式起訴する見通しだ。

 簡易裁判所の略式命令による罰金刑が確定すれば、衆院議員を失職し、公民権停止で原則5年間は立候補できなくなる。土壇場に追い込まれての辞職は、真摯(しんし)な反省に基づくものとは思えない。記者会見も開かず、説明責任をないがしろにする姿勢も相変わらずだ。

 菅原氏は昨年6月、不起訴に先立つ記者会見で、公設秘書による有権者への香典配布などを認め、公選法違反の認識もあったと述べた。違法と知りながら金品の提供を繰り返していた行為は許されず、社説は当時、潔く議員を辞すべきだと主張した。しかし、菅原氏は職にとどまり、今日に至る。

 そもそも、菅原氏が地元の有権者らに常習的に金品を配っているとの指摘は、かなり以前からあった。にもかかわらず、一昨年9月の内閣改造で経産相に起用した当時の安倍首相には、1強による慢心があったと言わざるを得ない。官房長官として入閣を推したとされる菅首相の見識も改めて問われよう。

 この間、自民党は菅原氏に対し、説明責任を果たすよう迫ることも、事実関係をただし、自ら処分を行うこともなかった。むしろ、昨年秋には、衆院厚生労働委員会の筆頭理事に就けるなど、けじめなき復権に手を貸してきた。この党の無反省ぶりに驚きあきれる。

 それを端的に示したのが、二階俊博幹事長のきのうの会見での発言だ。「政治とカネの問題はきれいになってきている」。収賄罪在宅起訴された吉川貴盛元農林水産相、公選法違反に問われた河井克行・案里夫妻に続き、この半年で職を辞す所属議員が4人になろうという異常事態を、どう心得ているのか。先の参院広島再選挙での手痛い敗北も響いていないようだ。

 二階氏は、候補者が一番、「金のかからない選挙」を望んでいるとも強調した。金品を受け取る有権者に問題があるといわんばかりで、政治の側の責任放棄と言うほかない。