(社説)線状降水帯 危機感が伝わる発信を

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 本格的な雨や台風の季節になった。5日未明にかけて広く雨が降り、関東の梅雨入りも近いとみられる。警戒を強めたい。

 雨による災害は毎年のように起きる。原因の一つは、雨雲が連なり長時間の降雨をもたらす線状降水帯だ。気象庁は17日から「顕著な大雨に関する情報」を新設し、この現象の発生を検知した段階で発表する。最新情報を公表して注意を促す意味は大きいが、安全な避難に結びつけるには課題も多い。

 3時間の雨量が100ミリ以上の範囲が、線状に500平方キロメートル以上に広がる――などが発表の基準だ。一定の地域を楕円(だえん)形の枠で示し、「線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り、災害発生の危険度が急激に高まっている」などと呼びかける。

 だが、「顕著な大雨」という表現で状況をイメージできる人がどれだけいるだろうか。発表する時には会見を開くなどして、住民はどう行動すべきか解説を加えるべきだ。

 「予報」ではなく「発生」の情報であることを踏まえた対応も求められる。その時点で周囲はすでに危険な状態になっている可能性があるし、川の上流に発生した場合は、ほどなくして下流でも水かさが増すなどの影響が出る。楕円形の外でも警戒を怠ってはならないことを確実に伝える必要がある。

 おととしから防災情報に5段階の警戒レベルが導入された。線状降水帯情報が出るのは「危険な場所からの避難」を促す「レベル4」以上の状況の時とされる。国土交通省と連携のうえ、河川の水位や土砂災害の恐れを示す指標も紹介して、住民が危険度を正しく把握する手がかりとしてほしい。

 線状降水帯の予報は難しい。60人以上が犠牲になった昨夏の熊本豪雨では、気象庁の注意喚起が不十分だったとの批判も出た。同庁は観測船による海上の水蒸気の測定などを手厚くし、22年度には半日前に発生確率など何らかの情報を提供することをめざすという。

 気象情報は多種にわたり、混乱要因を減らすため、整理・統合を進めるべきだという声が以前からある。新たな情報も大切だが、より簡潔な言葉で危険を伝えるにはどうしたらいいか。どの情報が実際に避難する際の役に立ったか。被災後の検証にも力を入れるべきだ。

 最近、市区町村が出す「避難勧告」を廃止し、「避難指示」に一本化するなどの変化もあった。状況によっては、避難所ではなく親類・知人宅に逃げることも推奨されている。的確に行動できるよう、一人ひとりが避難経路などを確認しておこう。