(社説)NHK経営委 議事録隠しを続ける愚

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 過去の議事録を公開するか否か、NHKの経営委員会が4カ月にわたって判断の先送りを続けている。混迷は長引き、この組織に公共放送のガバナンスを委ねてよいのか、不信と懸念は深まるばかりだ。

 問題になっているのは、18年秋に経営委が当時の上田良一会長を厳重注意した際の議事録だ。かんぽの不正販売を取りあげた番組をめぐり、日本郵政から苦情を受けた同委が、取材や制作手法の批判に踏み込み、放送法が禁じる番組への介入を行った疑いがもたれている。

 公開しないという選択肢は経営委にないはずだ。NHKが設ける第三者機関は昨年5月と今年2月の2度、全面開示すべきだとの答申を出している。

 答申は、非公表を前提に議論したので明らかにできないとする経営委の主張を一蹴。「経営委員は視聴者国民に対し、広く説明責任を負う」「非公表の場でなければ率直な意見が言えない類いの問題とすべきではない」と指摘し、自らの議事の経過に疑念が持たれているのだから、今後の運営にとっても速やかな開示が必要だと述べた。

 至極もっともな内容だ。

 第三者機関のメンバーは情報法の学者や元最高裁判事ら5人で、経営委の同意を得て会長が委嘱している。そしてNHK情報公開規程は、その意見を「尊重して開示・不開示の判断を行う」と定めている。

 2度目の答申後、経営委は8回開かれた。先月、国会でいまだに開示していない理由を問われた森下俊三委員長(元NTT西日本社長)は、「リモート会議のため資料の閲覧が十分にできない」と言い訳をした。国民の代表を馬鹿にし、これだけでも罷免(ひめん)に値する発言だ。

 当時のやり取りの詳細が明らかになって国会で追及されるのを避けるために、会期末を待っているとしか思えない。引き延ばしているうちに、国会も世間も忘れてしまうと高をくくっているのだろうか。

 経営委は今年1月、23年度の受信料値下げを盛り込んだ経営計画を議決している。政治の圧力がちらつくなか、執行部が唐突に打ち出し、国民生活とNHKの双方に影響が及ぶ内容だったのに、若干の質疑を交わしただけで結論を出した。一方で議事録の扱いについて延々と協議を続ける。おかしな話だ。

 視聴者を代表してNHKの経営や職務の執行状況をチェックするのが、委員長以下12人で構成される経営委の責務だ。「代表」にふさわしい人たちが、ふさわしい議論をしているのか。社会が適切に評価を下せるように、まずは答申に従って議事録を直ちに全面開示するべきだ。

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