(社説)池田小事件20年 子の安全確かなものに

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 刃物を持った男が校内に侵入し、児童8人が死亡、教員2人を含む15人が重軽傷を負った大阪教育大付属池田小学校の事件から、きょうで20年になる。

 教育現場の「安全」を根底から揺さぶる犯行だった。

 多くの学校が防犯カメラを設置し、門を常時閉めるようになった。マニュアルが整備され、侵入者に暴力を振るわせないようにする訓練も行われている。教員向けの研修も進む。卒業生が教職員を殺傷する事件が05年に大阪で起きて以降、校内で大きな被害が出ていないのは関係者の努力の成果だろう。

 それでも、登下校中の子どもが事件や事故に遭う例は後を絶たない。スマホの普及は位置情報の把握など安全安心に役立つ一方、SNSを使った犯罪に巻きこまれる危険性もはらむ。

 そうでなくても多忙な先生たちに、万事に目配りするよう求めるのは酷だし現実的でない。家庭や警察、そして地域の住民の協力が不可欠だ。

 文部科学省が16年に定めた指針も、学校が保護者・住民と連携していくことの重要性を指摘している。実際に各地で多くの人が登下校時の見守りに取り組む。校内の一角を地域活動の拠点に提供するなどして、関係を深めている学校もある。

 4年前、その見守りに参加していた男が登校中の女児を殺害した罪で起訴され、衝撃が走った。そうした特異な事件の再発を防ぐためにも、社会全体が子どもの安全に関心を持ち、多くの目を注ぐことが求められる。

 20年前の事件の当事者となった大阪教育大は、保護者や地域の協力を得て継続的に安全対策を進めていく条件が整った学校を認証する制度をつくった。

 ▽安全推進のための委員会の設置▽具体的な年間計画の策定▽成果の評価と改善への取り組み――などを指標に判断する。だが国内の認証校は、この6年間で付属池田小を含む25校にとどまる。周知に努め、輪を広げていってもらいたい。

 連携の柱の一つである見守り活動も、人々の負担が大きいと長続きしない。登下校の時間帯に犬の散歩や花の水やりをする「ながら見守り」。ふだんは特別なことはしなくても、異変に気づいたら手を差し伸べる「瞬間ボランティア」。そんな関わりでも十分意味がある。

 発達段階に応じて、子どもに自ら危険を予測し、回避する力をつけさせる教育も大切だ。東日本大震災の経験も踏まえ、近年重視されるようになった。

 国・自治体・地域でもっとできること、やるべきことはないか。事件が奪った命の重さ、心身に残した傷の深さをかみしめながら、探り続けたい。