(社説)SBI子会社 見逃されたずさん経営

[PR]

 金融庁が、SBIソーシャルレンディング社に業務停止を命じた。第三者委員会の調査でずさんな経営実態が明らかにされており、処分は当然だ。親会社のSBIグループの責任と、不正の舞台になった仕組みの不透明さも、問う必要がある。

 日本でソーシャルレンディング(社会的融資)と呼ばれているのは、ネット上でファンドへの出資を集め、それを事業者が企業などに貸す仕組みだ。投資と貸金業の組み合わせで、2年前までは具体的な貸出先を明示しないことになっていた。融資が焦げ付いても、事業者には元本償還や利益分配の義務がなく、預金保険のような制度もない。過去にも別の事業者が問題を起こしている。

 第三者委の調査報告によれば、SBI子会社の融資は特定企業絡みの案件に、多いときで4割以上が集中していた。太陽光発電マンション開発の名目で資金を集めながら、審査やモニタリングがろくに行われず、貸金のかなりの部分が違う目的に使われていたという。

 経営トップが営業を優先し、過大な収益目標を掲げて独走したとも指弾されている。融資判断をチェックする部門はなく、人員も不足していたという。

 直接の処分対象が子会社であるにせよ、こうしたトップを据え、ゆがんだ経営を放置していた親会社の責任は大きい。SBIの名前やロゴを掲げ、「大手金融グループで初めてソーシャルレンディング事業に参入」とうたって資金を集めていたのだから、なおさらだ。

 SBIグループはネット銀行や証券で急成長し、近年は地方銀行に次々と出資している。大手金融グループとして、社会的責任の重さを自覚すべきだ。

 今後、この事業から撤退し、当該ファンドへの投資は全額返金するという。持ち株会社の北尾吉孝社長は、企業統治のあり方を見直す意向も示した。

 その一方、「僕は(グループの)300社以上の全部を細かくみるわけにはいかない」と、ひとごとのように聞こえる発言もあった。本当に改善がなされるのか、行動を見極める必要がある。金融庁も、グループ経営のあり方をより考慮して、監督しなければならない。

 ソーシャルレンディングを不正の温床にしないための取り組みも、金融庁には求められる。これまでも投資家に「高い利回り情報だけで投資判断をしないように」と注意を呼び掛けていたが、SBI子会社は利回りに加え、「時間や手間がかからない資産運用」を掲げ、多額の資金を集めた。最低限、リスクを含めた情報開示の拡充などを、促していくべきだ。

連載社説

この連載の一覧を見る