(社説)40年超原発 教訓を忘れず廃炉に

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 運転開始から40年を超えた老朽原発が動くことになる。関西電力がきょうにも再稼働させる美浜原発3号機だ。東京電力福島第一原発の事故を教訓に作られた「40年ルール」を軽んじる行いは看過できない。

 美浜3号機の運転開始は1976年。原発の安全性に対する信頼を損なった米国のスリーマイル(79年)、旧ソ連チェルノブイリ(86年)の重大事故の前につくられた原発だ。

 点検し部品を交換して維持管理してきても、原子炉などは交換できない。高温高圧の蒸気を使い、放射線の影響も受ける配管や機器は、長年の使用で劣化する。04年に5人が死亡した美浜3号機の配管破断事故も老朽化が一因だった。

 さらに大きな懸念は設計が古いことだ。原発はどこかで問題が起きれば、再発防止のために点検や改良が重ねられ、新しい炉は設計段階から安全対策が強化されてきた。再稼働の評価に自信を見せる原子力規制委員長も「最も新しい技術と比較したときにカバーできるところとできないところがある」と記者会見で述べ、設計の古さをたびたび指摘した。

 規制委の審査は通ったが、何かの見落とし、今の知見が及ばない劣化やトラブルの元が潜む恐れはぬぐえない。実際、震災後に規制委が再稼働を認めた九州電力玄海3号機では、配管の腐食で蒸気漏れが起きている。

 他にも問題は山積している。福井県使用済み核燃料中間貯蔵施設の県外候補地を示すように求めてきたが、果たせぬままで、県も稼働を認めた。事故時の避難計画にも不安が残る。それでも経済産業省は再稼働した老朽原発の立地県への新たな交付金を示して後押しした。

 美浜3号機はテロ対策工事を終えておらず、10月の施設建設の期限までに停止する。4カ月だけの運転は、老朽原発稼働の実績づくりが目的ではないか。

 地球温暖化対策を名目に原発活用の声が上がるが、原発頼みを続けていては、海外に後れをとっている国内の再生可能エネルギー技術開発に悪影響を及ぼしかねない。

 運転停止中の期間を40年から除くべきだという意見もある。確かに運転中ほど炉の劣化が進まないとはいえ、停止中でも金属は経年劣化が進む。海外には40年以上運転している原発もあるが、地震や津波などのリスクが高い日本では一層の安全性が不可欠だ。

 「40年ルール」は東電の事故後、老朽原発の廃炉を促すために法改正して作られた。「1回だけ、最長20年間」という運転延長が「極めて例外的」であることを忘れてはならない。