(10代の君へ)柔軟さでチャンスつかんで 鈴鹿央士さん

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 出演した「ドラゴン桜」では、東大をめざす成績学年トップの生徒役でしたが、自分は飛び抜けて勉強ができた方ではありません。いたって普通の高校生でした。

 2歳上の兄の影響で、同じ県立高校に進み、同じバドミントン部に入りました。インターハイ出場まで、あと一歩まで行きましたよ。自転車通学で、部活後は友達とコンビニで唐揚げを買い食いして、たわいもない話で盛り上がっていました。あこがれの職業や、固く決めた目標があったわけではなかった。それが、ある人との出会いで一変しました。

 高校2年の11月、学校で映画の撮影があり、「芸能人が見られる!」とエキストラに参加しました。出演していた広瀬すずさんと、撮影の合間に目が合って。その日の夕方、突然マネジャーから「興味ありませんか」と名刺を渡されました。後で聞くと、広瀬さんが「スタイルが良くて目立つ子がいる」と事務所に推してくれたようでした。

 家族に相談すると、母は「誰にでもあるチャンスじゃない。生かしてみたら」と。ただ、「芸能の仕事がうまくいかなければ就職できるよう大学には進みなさい。二つの道があると思えば良い」とも言われて、挑戦する気持ちが固まりました。

 進学と同時に上京し、事務所で演技の勉強をして、オーディションに落ちれば合格した人の作品を見て学んで。三つ目に受けた「蜜蜂と遠雷」でデビューしました。監督と台本について議論し、配役の描かれていない過去まで想像で語り合って役作りをしました。他にも、たくさんの大人が生き生きと映画を作っていた。「もっといろんな作品に出たい」と、俳優の道に進むと決めました。

 1人の人との出会いから始まり、自分は今ここにいます。どこで人生は変わるか分からない。「これしかない」と考えずに、何か変わるチャンスが来た、と感じたら柔軟に対応できる気持ちでいれば、新しい道が開けるのではないでしょうか。(聞き手・桑原紀彦)

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 すずか・おうじ 俳優・モデル。2000年、岡山県生まれ。19年に映画「蜜蜂と遠雷」でデビュー。TBSのテレビドラマ「ドラゴン桜」で、東大をめざす高校生・藤井遼を演じた

連載10代の君へ

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