(社説)五輪折り返し 安全・安心を見直して

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 五輪が折り返し点を過ぎた。

 開催地の利を生かした日本勢の活躍に注目が集まる一方、競技スポーツの常で不本意な結果に終わった選手も少なくない。大会後半に出場するアスリートたちには、引き続き国籍や属性にかかわらず、悔いの残らぬプレーを期待したい。

 問題は、持てる力を存分に発揮できる環境を、主催する側が物心両面で用意しているかだ。

 パンデミック下で強行されたことで調整不足の選手が多く、記録は総じて低調だ。加えて周囲に感染者が出て、本番直前の練習の自粛を余儀なくされたというケースも出ている。

 そもそもコロナの影響で、予定された予選会が開かれなかったり、出場できない選手がいたりで、公平な機会を十分に確保できたとはいえない。自分の力ではどうしようもない理由で制約を受ける選手が増えることのないよう、今後も感染対策に万全を期さねばならない。

 大会関係者でウイルス検査の結果、陽性とわかった人は7月1カ月間で241人にのぼる。幸い選手村で感染が拡大するような事態は起きていないが、決して小さくない数字だ。

 選手らと接触する機会があるボランティアの陽性者はこれまでに6人だというが、義務である頻繁な検査が履行されていない疑いを野党が指摘している。だが大会組織委員会や政府から詳しい説明はない。人々の声に誠実に向き合わず、不信を深めてしまう体質は相変わらずだ。

 ウイルスが国外から持ちこまれるのも、日本から国外に広がるのも防ぐ。その約束はどこまで果たされているか。立派な行動規範をつくっても守られなければ意味がない。違反行為に対する罰則も含め、大会開催の条件とされたものがうやむやになってはいないか。

 かねて懸案の酷暑対策では、テニスの試合開始時刻が急きょ変更された。選手の抗議を受けてようやく動いた形で、不手際との批判は免れない。他の競技についても、給水休憩や体を冷やすシャワー時間の導入など、これからでも対処できることはないか検討すべきだ。

 コロナと熱中症の見極めは容易ではなく、感染の急拡大とあいまって救急・医療現場を混乱させる要因になっている。観客を入れて開催していたら、より深刻な状況を引き起こしていた可能性は否定できない。

 他にも選手・関係者を乗せる専用バスの運行トラブルや弁当の大量廃棄など、招致時のアピールポイントだった運営能力や大会の理念そのものに疑問符がつくことが、開会後も相次ぐ。

 祭典を開催する側の姿勢と責任は、最後まで問われ続ける。

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