(社説)沖縄の米軍 県民脅かす事件の続発

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 抗議の声を何度あげたら耳を傾けるのか。深刻なコロナ禍に見舞われ、対応に忙殺される沖縄に、さらに重荷を負わせるかのように、米軍が絡んだ事件や事故が相次ぐ。

 本土で同じことが起きても、日米両政府は沖縄に対するのと同様の態度をとるのだろうか。県民の不安と怒りに誠実に向き合うよう、改めて求める。

 沖縄県はきのう、外務、防衛両省の出先機関トップを県庁に呼んだ。米軍普天間飛行場オスプレイが今月12日夜、飛行中に長さ1メートルを超えるパネルや部品を落下させた問題をめぐり、訓練の中止と機材の総点検を政府からも米軍に強く申し入れるよう訴えた。

 人的・物的な被害は確認されていないが、大惨事になりかねない事案だ。沖縄県への連絡が翌日午後になるなど、米軍の地元軽視の姿勢も随所にのぞく。日本政府側も「遺憾」「いらだちは共有」と言うものの、具体的な手を打つわけではない。

 6~7月にも米軍ヘリがうるま市の畑に不時着したり、渡名喜島沖でコンテナを落としたりした。毎月のように起きるトラブルに、「基地の運用が機能不全に陥っているのではないか」との懸念が出るほどだ。

 17年前の8月13日には、沖縄国際大にヘリが墜落・炎上する事故が起きている。「全然何も変わっていない」という謝花(じゃはな)喜一郎副知事の言葉は、重い。

 きのうは県議会でも動きがあった。

 日本人女性に住宅街の路上で性的暴行を加えようとした強制性交等未遂の疑いで、米軍属の男が先月末、県警に逮捕された。議会は「人間の尊厳を踏みにじる凶悪事件」と位置づけ、米政府と米軍への抗議決議を全会一致で可決した。

 事件について米軍はこれまで、「男は米国防総省の関係機関に勤務しており、軍の管理下にない」として、県の抗議は受け付けられないとしている。

 しかし、米軍属は在日米軍や米政府などに雇われて働く米国人で、兵士らと同じく日米地位協定によって保護される。管轄違いを理由に知らんぷりを決め込む態度は県民感情を逆なでし、不信は深まるばかりだ。

 軍人・軍属の事件や事故を防ぐため、日本政府、米軍、地元自治体などが協議する場が00年に設けられたが、17年4月を最後に開かれていない。米軍のみならず政府の誠意を疑わせる。

 菅首相は6月の沖縄慰霊の日にも、基地負担軽減のために「できることは全て行う」と述べた。県議会の決議は「即応性のある実務者協議の場」の設置を求めている。自らの言葉に忠実に、速やかに応じるべきだ。

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