(社説)コロナと子ども 学びの継続へ力集めて

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 比較的安全とされていた子どもたちにも新型コロナの感染が急速に広がり、その対策が大きな課題に浮上している。多くの学校にとって当面の焦点は、予定どおり夏休みを終えるか否かで、すでに延長を決めたところもある。

 政府は、地域によって様子が異なることや、子どもの学習・心身に及ぼす影響などを考え、全国一斉の休校は要請しない方針だ。昨春に安倍前首相が唐突に打ち出し、大きな混乱を巻き起こしたことを考えれば、妥当な判断といえる。

 ただしデルタ株の感染力は非常に強く、専門家からは厳しい見解が示されている。自治体や学校は状況を注視し、子どもの健康を第一に考えて、判断を誤らないようにしてもらいたい。

 そのためにも、どんなデータに注目し、それがどうなったら休校などの措置に踏み切るかの基準づくりが求められる。いま政府が作業を進めているが、具体的で、現場が確実に使えるものにする必要がある。

 幼い子が通う小学校などが休みになると、日中の面倒を誰がどうみるか、手当てに追われる人は多い。決定から実施までの日数をなるべく確保するようにしたい。休校判断の基準がわかりやすく提示されれば、感染状況をにらみながら、保護者も予測を立てやすくなる。

 政府は、抗原検査の簡易キットを小中学校などにも配ることを決めた。早めの検査でクラスターの発生を抑える意義はあるが、現場の負担は大きい。また配布するだけでなく、陽性反応が出た場合の対応について丁寧に運用指針を定め、その実施体制も整えておかねばならない。

 昨春の長期休校時は、学校側の準備も十分ではなく、家庭環境によって学ぶ機会に大きな格差が生まれるなどの弊害を生んだ。友人と会えない日々が続いたストレスや生活習慣の乱れから、心や体に変調を来した子も少なくなかった。

 反省を踏まえ、オンラインで学ぶ環境を整備するために、政府は小中学生全員を対象にタブレットなどの情報端末の配備に取り組んできた。しかし使いこなすのは容易ではなく、学校側にも子どもたちにも、引き続き適切なサポートが欠かせない。ICT(情報通信技術)に通じた保護者や住民に手伝ってもらうのも一案だ。

 コロナ禍の収束は見通せず、今後も多くの学校で様々な困難や混乱が予想される。教職員や自治体のマンパワーだけでは対応できないケースもあるだろう。ICTの能力に限らない。地域がもつ力を生かす道を探り、子どもたちの「学び」を社会全体で支えていきたい。