(社説)防衛概算要求 費用対効果 検証十分か

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 第2次安倍政権以降、当初予算で7年連続、過去最大を更新し続けている防衛予算が、さらに膨らむことは確実だ。新型コロナ対策や社会保障費の増大で、財政事情が格段に厳しさを増すなか、防衛費を聖域化することなく、多額の費用に見合う効果があるのか、厳しく吟味しなければならない。

 防衛省が来年度予算の概算要求を明らかにした。今年度当初予算比2・6%増の計5兆4797億円。米国と交渉中のF15戦闘機の改修費用や、沖縄の米海兵隊のグアム移転経費など、金額が未定の「事項要求」も多く、これらが確定すれば、総額をさらに押し上げる。

 高額な兵器の代金は分割払いのため、初年度の計上は少なくてすむが、次年度以降に支払わねばならない「新規後年度負担」は2兆7963億円と過去最大となった。将来の予算を圧迫し、必要な経費にしわ寄せが及ぶ懸念がある。

 東アジア情勢は厳しさを増しており、着実な防衛力整備の必要性は理解できる。特に中国の国防費の伸びは著しく、その内実の不透明さもあって、周辺国の不安と警戒を高めているのは事実だ。しかし、日本一国で対応できるものではないし、力に力で対峙(たいじ)することは、不毛な軍拡競争を招きかねない。中国の台頭に対しては、外交や経済を含めた総合的な戦略と重層的なアプローチで臨むしかない。

 個別の装備に目を移すと、限られた予算が無益にならないか、強い危惧(きぐ)を抱かざるを得ない。そのひとつが、断念した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の装備を海上に転用する「イージス・システム搭載艦」の建造だ。

 1年のうち運用できるのは3分の1なのに、費用は陸上イージスの少なくとも2倍になることが明らかになった。しかも、配備は陸上イージスが目標としていた23年度より10年近く遅れる可能性があり、安全保障環境の変化に対応できない恐れもある。概算要求にはレーダーの改修費58億円が計上されたが、きっぱりと断念し、白紙から検討し直すべきだ。

 米空軍が機体の旧式化を理由に早期退役の方針を打ち出した無人偵察機グローバルホークの導入にも疑問がある。防衛省は今後20年間、毎年120億円超の予算をかけて運用する計画で、概算要求にも関連経費137億円が盛り込まれた。しかし、米軍が使わなくなれば、部品の確保などで、維持コストはさらに膨らむだろう。

 多額の国民の税金を費やす装備である。導入の経緯や費用対効果について、政府には明確な説明が求められる。