(社説)保健所の苦境 目詰まり見つけ支援を

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 新型コロナのかつてない感染急拡大を受けて、最前線に立つ保健所は多忙を極めている。

 その役割は多岐にわたる。現下の第5波では、入院・宿泊療養先の調整や自宅にとどまる感染者の健康観察の負担が重くのしかかり、重要な業務である接触者調査の縮小を余儀なくされているところもある。

 それでも手が足りず、病状が急変してそのまま自宅で亡くなる人が相次ぐ。保健所から連絡が来ない、電話してもつながらないなどの声も聞く。感染者がまず頼りにするのが保健所だ。強化を急がねばならない。

 これまでも、所内の人員配置の見直しや自治体の他部局職員の配転、民間からの応援、仕事の外部委託、急を要しない業務の縮小・延期などに取り組んできた。最近は健康観察の要員として、地域の診療所や訪問看護ステーションに協力してもらう試みも広がる。

 これらを引き続き推し進めるとともに、国や都道府県との連携をさらに密にして機能を高めていく必要がある。専門職でなければ担えない仕事と、他の職員に任せられる仕事とをいま一度整理し、業務の効率化や改善につながった工夫を全国で共有する作業も進めたい。

 仕事がどこで目詰まりを起こしているのかを見定め、その解消に人やカネを投入する。支援の実を上げるために、共通の指標をつくることはできないか。

 たとえば、陽性と確認された人から最初に話を聞くまでに要した時間や、療養施設や病院に送るまでの時間を保健所管内ごとに集計する。それらを比較・分析すれば、どの時点で、どこの保健所に、どんなテコ入れをするのが効果的か、「見える化」が可能となろう。

 政府はいま、緊急事態宣言の発出や解除の目安となる指標を見直すことを検討している。新規感染者の数よりも、病床使用率など医療提供体制を示すデータを重視する方向で調整中と伝えられる。保健所を取り巻く状況もそこに取り込む方向で議論を深めてほしい。

 療養先や病床を増やして空きをひねり出しても、保健所が調整に手間取れば適切に利用できない。患者を医療につなぐ保健所業務の切迫度合いもトータルで把握して初めて、有効な感染対策を打つことができる。

 行政の効率化を図る観点などから、近年、各地の保健所は統廃合が進み、人員も削減されてきた。そこに新型コロナが不意に襲いかかる形となり、急場をしのいでいるのが現実だ。

 当面の手当てはもちろん、この間の反省を踏まえ、長期的な視点に立って組織のあるべき姿を探ることが求められる。