(社説)全国知事会 課題解決に現場の力を

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 都道府県知事は、新型コロナ対策の最前線に立つ地域の司令塔だ。住民の命と暮らしを守るため、切磋琢磨(せっさたくま)するのはもちろんだが、共通する課題を臨機応変に集約し、現場の実態を踏まえた対応を政府に強く求めるのも重要な責務である。

 全国知事会の新会長に平井伸治鳥取県知事が今月、就任した。大半の知事の推薦を得て、無投票での選出だった。総務官僚から知事に転身して4期目。知事会の緊急対策本部長代行、政府の分科会メンバーとして、コロナ対応にあたってきた実績が評価された。任期は2年間。

 知事会は地方自治法に基づく全国組織で、総務相を通じて内閣や国会に意見を申し出ることができる。これまでは、年2回の定例会議と随時開かれる委員会が中心だったが、コロナ禍を受けて運営は一変した。

 対応を迫られる案件が増大する一方、オンライン会議の普及でこまめな意思疎通が可能となった。基本的に全知事が参加する対策本部はオンラインで開かれ、昨年2月以降計27回を数える。政府に頻繁に緊急提言を行うなど、期間・地域を限定した手法を取るべきだと繰り返したことが、まん延防止等重点措置を設ける法改正につながった。

 ただ、この間、地方の強い危機感に対し、政府の反応が鈍かったり、十分でなかったりした例も、ままみられた。8月にまとめた直近の緊急提言では、現在の緊急事態宣言には効果がないとして、人流抑制を徹底するための法整備や、現行法の下でも可能な幅広い制限と国の財政措置の検討を求めたが、政府を突き動かすには至っていない。

 現場の実情を知る知事らの訴えに、政府は真剣に向き合うべきだが、知事会の側にも工夫が必要だろう。緊急提言の内容は毎回多岐にわたり、20ページを超す分量だが、優先順位はわかりにくい。時々の緊急度に応じてテーマを絞り、政府側と集中的に協議して結果につなげるような取り組みが必要ではないか。

 知事会は、03年に会長になった故梶原拓(ひろむ)岐阜県知事が「闘う知事会」をスローガンに、国に分権を迫って以降、存在感を増した。平井氏は就任会見で、政府と闘うのではなく、コロナという共通の敵に対し、政府に加え、医師会、経済界など、さまざまな組織と連携して「ともに闘う知事会」を掲げた。

 国との協働は大切で、いたずらに対峙(たいじ)する必要はないが、自治の観点から、言うべきことは言う姿勢も忘れてはなるまい。コロナ対策に限らず、人口減少自然災害気候危機への対応など、さまざまな課題について、地域の主体的な活動を支える役割が求められる。