(社説)南北国連30年 共存認め合う一歩から

[PR]

 同じ民族でありながら、戦火まで交えた韓国と北朝鮮が、国連に同時加盟を果たしてから、30年という歳月が流れた。

 欧州で始まった冷戦終結の追い風を受け、南北の平和的共存と、その先の統一をも夢想させる国際舞台のデビューだった。

 だが30年後のいま、眼前には厳然として「二つのコリア」があり、冷戦の残滓(ざんし)とも言われる厳しい対立が続いている。

 この間、南北の経済格差は大きく広がった。北朝鮮は苦境が続き、いまなお深刻な食糧難を克服できずにいる。一方の韓国は金融危機を経たものの、まばゆい発展を遂げた。

 韓国の中央銀行によると、南北の1人あたりの国民総所得の差はいまや27倍に達する。

 そんな格差を背景に韓国の「統一観」も変化してきた。

 統一が必要な理由を問う研究機関の調査では、かつては半数を超えた「同じ民族だから」の回答は減少傾向にあり、昨年は初めて「戦争の脅威をなくすため」が最多となった。

 それは北朝鮮が国際社会の声を無視し、核実験ミサイル発射を繰り返してきたことが招いた失望の反映であろう。

 度重なる暴挙に対し、国連安保理はこれまで10本の制裁決議を出してきた。国際社会の一員として名誉ある地位を占めるどころか、無法の代償として科された経済制裁により、自ら窮状に陥った。人権を尊重しない体質も強い批判を受けている。

 朝鮮半島の分断は、このまま固定化されるのか。互いに相手による強引な統一を警戒してきたが、将来的な統一を念頭に置きつつ、まずは共存すべきだとの機運が共に強まってきた。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は、南北が経済共同体として繁栄する「新朝鮮半島体制」を思い描く。

 金正恩(キムジョンウン)総書記も演説などで、民族よりも「国家」を強調するようになっており、いったんは現状を認める考えとも映る。

 朝鮮半島をとりまく環境は大きく変化しつつある。南北ともに政治・経済の両面で大きな影響を受ける米国と中国の関係は「新冷戦」と言われるほど緊張した状況を迎えている。

 現在の核問題も、外交関係が深く影響している。韓国はソ連・中国と国交を結んだ一方、北朝鮮は日米との関係正常化を実現できず、孤立感を深めた。

 朝鮮半島問題の当事者は南北だが、恒久的な和平を定着させるためには、米中はもちろん、日本やロシアの積極的な関与が欠かせない。

 とりわけ日本には、かつて朝鮮半島を植民地支配した不幸な過去がある。この地域の平和体制づくりに大きな責任を負っていることを忘れてはならない。

連載社説

この連載の一覧を見る